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透理の秘密解明

 プニプニとした冷たい感触に目を覚ます。


「小娘、目を覚ましたでござるか?」

「ん……パフパフ?」

「パフデリック、でござる!」

「あ~、うん。そういえばそうだったね。ごめんって、そう怒らないでよ」


 目覚めたばかりで頭がまだボーっとする。


 扉に背を預けているルア。その隣にはどこか元気がなさそうなクロノ。


「おはよう、僕のほうが早く目が覚めたみたいだね。うふふ」


 ベッドの縁に腰を掛けているミラ。


「透理も目が覚めたんだ。そろそろ何を見たのか説明してもいいだろう」

「そうだね、うん。まぁ、ちょっと衝撃的な話になるんだけど、あの真っ赤な世界。あれは、透理くんの根底に眠る魔力の貯蔵庫だよ。そして、あの異形は……透理君自身の過去の恐怖心が具現化した姿」

「どういう事だ?」

「どういう事? どういう事って、そのままの意味だよ。透理くんが上手く魔術を行使できないのは、過去の忘れたい程のトラウマを封じ込めるために、魔力の通り道を塞いでしまっているんだよ」


 全員の視線を受けるが、過去のトラウマとは何の事だろうと首を捻る。


「ミラ、お前はそのトラウマも覗いたのか?」

「ん~、ふふ、どうだろうね。たとえ覗いていても話さないよ。これは透理君の問題だし、外野の僕が深く首を突っ込むわけにはいかないしね」


 ひとまず状況の整理が必要だ。


 自分の深層にあったあの真っ赤な世界は、魔力という魔術を行使する際のエネルギーを貯めておく場所。真っ赤な異形は過去のトラウマが具現化したもので、それを封印しておく為に魔力の放出口全てを閉ざしてしまった。


 これから先、透理が魔術を行使するには放出口とやらを開けなければならない。その為には、透理自身も忘れている過去のトラウマを掘り起こさねばならないのだが……。


「ミラさん、少しだけでもヒントみたいなのとかない?」

「ヒント? 過去のトラウマについてのかな? ヒントが知りたいってことは、その封印された過去を解き明かすのかな。でも、本当にいいの? 忘れ去りたいから深層世界という自我が到達できない場所に隠したのに、それを再び思い出そうと?」

「うん……」


 きっとその記憶はとても酷いモノだろう。


 それでも、自分がこの大切な街や人々を守るための手助けをするには、魔術を会得するしかないのだ。だから、どんな過去であろうとも乗り越えなければならない。


「そうだね、透理君のご両親はどうして亡くなったの?」


 ミラの紫色の瞳が透理と視線が合う。


 ただ、視線を合わせているだけなのに、自分の内面全てを舐めまわすように暴かれ可笑しそうに見られている感覚。噴き出す汗。鼓動が徐々に早くなる。


 瞬間的な頭痛がノイズの入った映像を脳裏に呼び起こさせる。


「どうしてって、交通事故で……ボクがまだ小さい時に、えっと……でも車が来て? ううん、女性が拳銃で? あれ……? えっ、なにこの記憶」

「交通事故じゃない。殺されたの? その女性は何者なのかな?」

「あ、ああ……嫌だッ! 助けて、助けて!!」

「透理ッ!」


 手に一冊の書物を持ったルアがミラを突き飛ばし、透理の身体に見開きの書物を押し当てる。


「無理に思い出すな……」


 意識を強制的に落とす。


パフデリックが脱力した透理の身体を、そのプニプニとした身体で受け止め寝かせる。


「ミラッ!!」

「ん、なにかな? 僕は透理君が望んだから記憶を呼び起こさせる手伝いをしてあげただけなんだけどね。いたた、突き飛ばすのは酷いんじゃないかな。本当に酷いね」


 ミラに掴みかかるルア。二人のやり取りを怯えてオロオロとするクロノ。


 パフデリックは静かに透理の身を包み二人から距離を置いた。

こんばんは、上月です(*'▽')


次回は今週中に投稿します!

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