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厨二の居場所  作者: 彬=Aki=
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第四棟 食事

「なぁリト、この広場はいつまで開いてるんだ?」

「朝の9時から夜の7時までや。ここで飯を食う事も出来るで」

 自分はこんなとこで飯を食うなんてごめんやけどなぁ。とリトは言う。俺だってこんな連中がいる所で飯を食いたく無い。所で、さっきから飯を食うだの何だのと言っているが、そもそも飯はどこから出てくるんだ?

「飯ってどこから出てくるんだ?塩らしきものも部屋に無かったが……」

「いつの間か部屋に置いてあるんや。自分らが出かけた隙に置いて行ったんとちゃう?所でたくみ、さっきの女の子に『きれいだ』って言うとったけど、気になるんか?」

「っそんな事はない!俺の中にいるアヌビス神がそう言っただけだ!断じて俺じゃない!」

「たくみ、案外照れ屋なんやな。意外やわ」

 リトはニヤリと笑い目を細める。しかし、リトの次の言葉に俺は眉をひそめた。

「あの娘はやめとき。絡まれるとめんど臭い事になるで」

「はぁ?どう言う事だ?」

 この施設にいる事以外普通の女の子じゃないか。顔もアヌビス神が認める程度には整っているが……性格が悪女なのか?それともああ見えて実は男だとか?

「あの娘はな、自分にとっての”王子様”を探してんねん。そんなん、居るはずないのにな。せやのに誰彼構わず『私の王子様は何処か知りませんか?』って聞き回っとんねん。ホンマ鬱陶しいわ」

「王子様?じゃあ彼女は何処かの国の生き残りなのか?」

「いや、考えてもみいな、此処にいるってことはあの娘も、本人はそう思い込んでるだけで実際は自分らと同じ自己愛性妄想症候群っていう事や」

 自己愛性妄想症候群?俺が機関に幽閉された原因か。俺はその自己愛性妄想症候群について何も知らないため、リトに聞くことにした。と言うかここで何かわからないことがあったら全てリトに聞くことにしよう。

「自己愛性妄想症候群って何だ?」

「自分らがここに居る原因や。”自己愛性妄想症候群”通称『厨二病』自分も含め、この施設に居る連中は皆これやねん」

「___俺もそれなのか?アヌビス神に選ばれたことも…『終焉を迎える審判ジャッジメント・オブ・カタストロフィ』も…全部俺の思い込みで…実際はそんな事なくて…」

「そうや。自分が妖の生まれ変わりなのも、あの娘が王国の生き残りって言うのも全部嘘や。自分らの頭の中に居る虫が見せてる幻なんや」

 信じられなかった。俺の今まで生きてきた意味をすべて否定されたようで。急に、地面がなくなり、奈落へと落ちている。そんな感じがした。

 遊馬咲という男からも同じ情報は聞いたが、その時とは状況が違う。あの時は遊馬咲さえ機関の一員だと思う事で自分を保っていた。だが今は違う。同じ立場の人間からそういわれた。

「まぁ、それもホンマの事かはわからん。自分らが本当に“能力チカラ”を持ってるのに、国がそれを危険と判断して集めてるんかもしれん。ほんで薬漬けにして殺す。そんな施設かもしれん。

 ___まぁ、真相は闇の中やな」

 リトのこのセリフを聞いて、地面が戻ってきた。いや、正確には元からあるのだが、戻ってきたように錯覚した。

「…取り敢えず、飯食おか」

 そういうとリトは、再び俺の腕をつかみずるずると部屋へと戻っていった。


―――


 リトの言っていた通り、部屋にはちゃぶ台が用意されており、その上に飯が三人分置いてあった。___それに塩も。

「よっしゃー!今日はお好みやん♪ありがたや、ありがたや~」

 本日の昼食がお好み焼きなのでリトのテンションが上がっているようだ。

 メニューは、お好み焼きにご飯、それに味噌汁。…炭水化物に炭水化物って、栄養バランス狂ってるんじゃないか?

「心配ないさ、この味噌汁に栄養素とか色々入ってるから。ってかたくみ早く座れ、飯が食えない」

 俺は楓に言われて食卓につく。それにしても年下に注意されるとは…。

「じゃあ、頂きます~」

「…頂きます」

「頂きます」

 俺は箸を持ち、お好み焼きを口に運ぶ。旨い。薄味だと聞いていたから薄いのかと思ったが、ソースの味がしっかりしている。そして俺は味噌汁をくちに含___薄い。圧倒的に薄い。お好み焼きのソースが濃いせいか、元々薄い味噌汁が相対的にもっと薄く感じる。左腕が無意識に塩の入った瓶へと伸びる___が、リトが俺の腕をつかむ。そうだ、さっきリトに言われたばっかりじゃないか。

「たくみ、お前早速塩入れようとしてるやん。あかんで?ま、廃人になりたいんやったら止めへんけどさ」

 リトに苦笑されながら言われ、俺は首を横に振る。そして俺はまた黙々と食事に取り掛かるのだった。

「塩かけないと不味いだろ?」

塩の瓶が消えた。いや、楓がかけている……かけている⁉︎

「おい!楓、それって薬じゃないか!?お前、廃人になりた___」

「たくみ」

「これが僕の選んだ道だ。邪魔するな」

「そうや。これは楓が選んだんや。たくみは何も言ったらあかん」

俺は何も言えずに、楓がただ塩をかけていくのを見ていくだけだった。

すいません、一度編集途中で投稿したので大幅編集しました。

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