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まだ恋に至る前の物語  作者: まみや ろも
6/11

マイク持ったら変わるかも?

「・・・・・・ええ?」


 しばらく間があって、鹿鳴くんは今日1番大きな声を出した。


「ほら、見ての通り私たちってリズム隊しかいないから。瑞希のキーボードと鹿鳴くんのボーカルが入ってくれたら最高なのよ」


「でも、僕は人前で歌ったとこが無くて」


「大丈夫よ、どんな事でも最初は初めてなんだから」


「でも・・・」


「んー、じゃあ取り敢えずマイク握ってみようか」


「え!ちょ、ちょっと」


「瑞希もボーッとしてないで、キーボードの前に立つ」


「私もなの?」


 カンナに追いたてられて、私たちはそれぞれの場所に立つ。


「んー、いいわよいいわよー。なんかバンドやってますって感じになってきたー」


 カンナはニヤニヤしながら私たちを見比べている。


 正面から見ると。

 真ん中に鹿鳴くん、その右に京くん。

 左にはキーボードの私がいて、後ろにドラムのカンナ。

 少し変な編成ではあるかもしれないけど、それでも確かにバンドっぽくなっている。


「さってー、それじゃ早速だけど1曲いってみる?楽譜はみんなの前に置いてあるからね」


 カンナの準備の良さに圧されて、なんとなく演奏を始める空気になってしまった。

 鹿鳴くんはずっと困ったようにうつむいてるし、私だって初めてで心の準備が・・・

 そんな、私の心に構わず、カンナはドラムスティックを鳴らしてカウントをとろうとした。



 その時だった。



「ご、ごめんなさい!!」


 鹿鳴くんはマイクスタンドに丁寧にマイクを戻し、私たちに頭を下げると、カバンを持ってスタジオを出ていってしまった。


「ちょ、鹿鳴くん!!」


 突然の事でびっくりしたけれど、いや、びっくりしたからだろうか。

 身体が勝手に動いていた。


「カンナ、ごめん」


「オッケー、頼んだわよ」


 鹿鳴くんの後を追いかけようとする私にカンナが何かを手渡した。

 それが何か見る余裕も無く、私もスタジオを飛び出して行った。

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