表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まだ恋に至る前の物語  作者: まみや ろも
4/11

じゃあ、勧誘しちゃおうよ

「ふえ?」


 私の案を聞いたカンナの第一声はそんな気の抜けた声だった。


「ごめんごめんごめんごめん、もう一回言ってもらっていい?」


「だから、うちのクラスの鹿鳴くん。彼をボーカルに誘ってみたらって言ってるの」


「いやだって、あの子内気そうだしいつも下向いてるし前髪で目元隠してるし声も小さいし」


 まあ、その通りなのだけどずいぶんと言ってくれる。


「でも、髪上げたら案外可愛い顔してるのよね。あたしこないだ見たけど」


「ええっ!! 見たの?見たことあるの? なんで知ってるの?」


「だって、漫画じゃあるまいしあの髪で前見えるのかなーって」


「なんなのよ、もう。カンナは男女構わずスキンシップが多すぎなのよ」


「へ? あれ? もしかして瑞希さん、鹿鳴くんの事が気になっちゃってたりしてる?」


「ななななに言ってるのよ。そそそそそんな訳ないじゃない。たただあれよ。彼歌うまいからバンドのボーカルにどうかなって」


「聞いたことあるの?」


「多分なんだけど」


 そこでやっと私は彼が歌い手をしているんじゃないかという話しをした。


「うーん」


 なのにカンナはなんだか浮かない顔をしている。


「ベース、ドラム、ボーカルって、なんかバランス悪くない?」


「あ、んー、確かにそうかも」


 私が知らないだけでもしかしたらそんな編成もあるのかもしれないけど、でもカンナたちのバンドには違和感がある気がする。


「やっぱりなんか欲しいのよね、ギターとか・・・・・・!!」


 いきなりカンナの目が輝いた。


「な、なに?」


「瑞希!! あんたやっぱりキーボードやりなさい!!」


「へ? どうしてまた話しが戻るのよー」


「そしてあたしは、鹿鳴くんを勧誘してくる!!」


「えええっ!!」


「そしたら気になる鹿鳴くんと、もっとお近づきになれるわよー」


「だから、そうじゃないんだってばー!!」


 私の叫びを聞いてるのか聞いてないのか、カンナは猛烈な勢いで走り去って行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ