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放課後の音楽室で
放課後の音楽室。
ピアノの椅子に座って外を眺める。
開け放った窓から、セミの声と傾きかけた太陽の陽が遠慮なくはいってきていた。
と、1人の生徒が帰っていくのが見えた。
あれは・・・
「鹿鳴くん?」
音楽室に私の独り言がころん、と転がる。
「キミ・・・なのかな?」
誰もいないのをいいことに、心の中を言葉にしていく。
「私は、同じクラスの、鹿鳴くんの事が、、、気になって、いる」
一言一言確かめるように、そう言い終え
「瑞希ーーーーーー!!いるーーー??」
るか終えないかのタイミングで、音楽室のドアが勢いよく開いた。
「やっぱいたじゃん!!ピアノの音しないからいないかと思ったし。てか、LINE見てないし!!」
マシンガンのように喋りまくるこの子は、同じクラスのカンナ。
幼稚園からの幼馴染み。
そして私の1番の友達だ。
そのカンナが私の顔を見て。
「なに顔真っ赤にしてんの?熱?」
内心慌てふためいているけどなるべくそれを悟られないように平静を保ったつもりの私の顔を見て。
カンナはそう言った。