2003年2月 SIDE SAKUYA
とーこの行動力にはビックリした。
いつの間にかヨーキーの子犬を見つけてきて、いつの間にかその子犬を飼うことになっていた。俺はとーこの前で言ったことがある。「一生に一度でいいからヨーキーを飼ってみたい。」と。それが、叶う。
最初に見せられた写真はなまらめんこくて、テンションが上がった。たれ耳で、ビビりで、眉毛のところが麻呂になってる。俺が飼いたいと思ってる、理想的なヨーキーの子犬だった。
子犬を迎える準備はどんどん進んでいた。
とーこは子犬に必要なものの情報を仕入れて来ては、ホームセンターや、ペットショップなんかを巡ってなるべく安くそれらをGETしていった。
初め、俺はヨーキーの子犬が来るなんて夢のようだと思っていた。
けれど、ゲージが居間に設置され、ペットシーツや子犬の為のベッドや餌の缶なんかが揃ってくると現実味を帯びてきた。
名前が「志憧」と決まった頃には、俺の中で子犬を迎える準備が出来ていた。
「とーこさ。」
「何?」
「とーこって、俺の知らないところで俺をびっくりさせる天才だな。」
「それって、困ってるってこと?」
「違う。嬉しいんだ。」
家を借りてくれた時もそうだ。
クリスマスのプレステの時もそうだった。今回も。とーこは俺の知らないところで、俺がしてほしいと思うことをいとも簡単にやってのける。
「とーこがいなかったら、俺は、一生ヨーキーなんて、飼えなかったと思う。」
「そうかな。今回はタイミングが良かっただけだよ。」
そのタイミングを引き寄せたのはとーこだ。
「幸せだね。」
ソファの下に座ってたとーこを後ろから抱き締めて、俺はこの幸せがずっと続けばいいと願った。
「俺たち、家族になるんだな。」
「家族?」
「そう。」
「さくやがお父さんで、とーこがお母さんで、志憧くんが子供?」
「そういう、形にこだわらないけどよ。守るべきものがまた一つ、出来た。」
俺は今まで、とーこを守れさえすれば良いと思っていた。守るってもとーこだって大人だ。精神的に不安定になった時に手を差し伸べてやればいいくらいの気持ちだった。
けれど志憧が来ると判って、気持ちが変わった。志憧は俺たちの愛情がないと一日とて生きてはいけない。守ってやらなければ死んでしまう。俺には守るべきものが増えた。
幸せだ。心からそう思った。




