2003年1月 SIDE SAKUYA
「夏昼ん家、行こうぜ」
「今日?」
「そう。」
「ちょっと待って。準備する。」
今日は二人とも休みだった。夏昼にメールしたら、あいつも仕事が休みらしい。旦那もいないみたいだし、この機会を逃す手はない。
「靴下は黒を履いて行けよ。」
「どうして?」
「汚れるから。」
夏昼ん家は子供が三人もいるから嫌でも散らかる。夏昼は普段働いているから、片付けまで手が回らない方が多い。俺が間借りしていた時はそれなりに片付けを手伝ったけれど、今はきっと散らかってるだろう。
「お待たせしました。」
準備が出来たとーこを車に乗せて、夏昼の家に向かう。
「あ、今出たってメールしてない。とーこ代わりに打って。」
携帯をとーこに持たせる。
とーこは使い慣れない俺の携帯に苦戦しながら、メールを送信してくれた。
「さくや。」
「ん?」
「見る気はなかったんだけど、見えちゃったの。ごめんなさい。」
「何を?」
「とーこっていう受信BOXあるんだね。」
「ああ、うん。」
いくつか受信BOXを分けているが、とーこは「友達」とも「家族」とも違う。だから「とーこ」っていう受信BOXを専用で作ってある。
「なんだか、嬉しい。」
とーこは単純すぎる。そんなことが嬉しいだなんて。
しばらく車を走らせて、夏昼の家に着いた。車をどこに置いたら良いのか判らなくて、夏昼に電話する。
「もっしー。車、どこ置いていいの?」
「家の建物の壁のとこ。雪山になってない方。判る?」
そこには、一台車が置けるスペースがあった。
「了解。車置いたら行くから。」
「じゃね。」
車を置くと助手席から降りられなくなるから、先にとーこを降ろしてバックで駐車する。
さて、夏昼はどんな反応をするんだろうか。




