2002年12月 SIDE SAKUYA
これでは、俺の計画が果たせない。どうにかとーこを起こさなければ。
「とーこ。」
「ん?」
「起きろよ。」
「起きてるってば。」
言ってるそばから目を閉じてる。
「とーこにあげたいものがあるんだ。」
すると、とーこは眠たげな瞳をようやく開いた。
「なぁに?」
「コレ。」
ずっと、とーこに上げようと思ってて、タイミングがつかめなくてあげられなかった物。クリスマスの力を借りて、ようやく渡せた。
とーこははじめ、何を受け取ったのか判らないって顔をした。寝ぼけてたし酔ってたし、頭が混乱したんだろう。気付いた時には、ぽろぽろと涙を流していた。
「泣くな。」
「だって。」
渡したものは、部屋の合鍵。とーこにずっとこの部屋に帰って来て欲しくなったから。
「この部屋に越して来いよ。」
「いいの?」
「ダメだったら、言わねぇよ。」
「本当にいいの?」
とーこはボロボロ泣いている。向かいにいるとーこの席まで立ちあがって行って、抱き締めてやる。
「とーこが愛おしいよ。」
それは、心の底から、出た言葉だった。
「さくや。ありがとう。」
しゃくりあげるとーこの背中をトントンと叩いてやる。
「ありがとう。」
グチャグチャの顔をしたとーことのキスは涙の味がした。
次の日、目が覚めたらとーこが同じタイミングで目を覚ました。
「目、腫れてるぞ。」
「ウソ。やだ。」
急いで姿見がある居間に出て行ったとーこが、しばらくして「さくや。サンタさんが来てる。」と、ビックリした声をあげた。
「はぁ?意味判んねぇ。」
「だって、テレビのとこ、見て。」
意味判んねぇから、ベッドから起き上がるまで何のことだか想像もつかなかった。
そこには、昨日ベッドに入るまで確かになかった物体が置いてある。
俺は眠りが浅い方だ。夜中にとーこがトイレに起きてもすぐ気付く。そういうとーこは昨日は酒に酔っぱらって合鍵を渡すまで食卓で舟を漕いでたほどだ。あそこにどうやって物が置かれたのか判らない。
黒い包装紙に包まれた物体は少し重かった。
「ねぇ。さくやが開けてみて。」
黒い包装紙を破くと中からはプレステが出てきた。
「マジ意味判んねぇ。」
確かに何か月か前にプレステが欲しいと口走ったことがあった。それが、叶った。
とーこの粋な演出は、マジでどうやったのか判らなかった。
「どうやった?」
「サンタさんが来たの。」
とことん言わないつもりらしい。
「これで、スロット好きなだけ出来るね。」
「おう。」
これで、学んだ。とーこの前で欲しいとかしてみたいと言ったら叶ってしまうと。とーこは俺を第一優先で考えている。どんな手段を使ってもとーこは俺の願望を叶えようと必死なんだ。




