表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たちの進む道には  作者: 風 桜月
2002年11月
78/92

2002年11月 SIDE SAKUYA

真紀ととーこが話に夢中になっている最中に、たけるが何気なく話しかけてきた。

「真紀は子持ちなんだ。」

「お前、そこまで手ぇ出したのかよ。」

「仕方ないだろ。惚れたんだから。」

 確かに、仕方ない。俺だって人の事は言えない。実紗だって子持ちだった。

「今、離婚したてでさ。俺、子持ちは初めてだから、子供とどう接していいのか悩んでる。」

「子供、オンナ?オトコ?」

「女の子。四歳。」

「そりゃ、悩むわな。」

 女の子は多感だ。四歳って年頃の子供に、性同一性障害を理解させるのも難しいだろう。

 たけるは残念ながら外見的に完全にオトコには見えない。もしかしたら、その子を混乱させてしまうかもしれない。

「自然体でいくしかないんじゃね?」

 一番当たり障りのない返事をしてみる。

「桜夜だったら、俺は男だって言うか?」

「それが、本当のことだろ。」

「だよなぁ。」

 自信なげに肩を落としたたけるのところに真紀が戻ってきた。

「たける。あちらのお客さんからビール一ついただきました。」

 たけるは途端、営業モードに戻って笑顔で「いただきまーす。」とビールを注ぎ始めた。


 今なら終電の地下鉄に間に合う。急いで身支度を終えて勘定を済ませ地下鉄駅に向かう。

 足元がおぼつかないくらい酔っぱらった俺を、とーこは一生懸命支えてくれた。

「さくや。こっち。」

 自分では真っ直ぐ歩いているつもりなんだけれど、地面がグラグラ揺れて見える。

 何とか終電に間に合って、ギュウギュウ詰めの地下鉄で終点駅まで乗って、そこからはタクシーしか手段がないから、仕方なくタクシーに乗る。

 運転手に住所を伝えたのはとーこ。俺はもうほとんど寝てた。

「さくや。起きて。着いたよ。」

 言われて目を覚ます。自分の身体が自分の身体じゃないみたいに動く。勘定を済ませたとーこが支えてくれなければ玄関までたどり着けなかった。

 気がつけば服を全部脱いでパンツ一丁で寝てる自分。ハッとした。とーこがいない。

 飛び起きて居間に出る。そこにはタオルケットにくるまってソファで寝ているとーこがいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ