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俺たちの進む道には  作者: 風 桜月
2002年9月
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2002年9月 SIDE TOOKO

 ペットショップ巡りをしている間、さくやはいつも顔に誰も信じないと書いてあるのが嘘かもしれないと思えるほど柔和な顔をしていた。そんな顔を見ると幸せになれた。

 目尻を下げて「なまらめんこい」と言いながらヨークシャーテリアの子犬が入っているケースを見ている姿は、普段は切れるような目で人を見つめて誰も寄せつけない人だとは思えなかった。こんな時、思い知る。

 やっぱり、さくやが幸せなら、あたしは幸せだ。

 独占欲が出てくることもある。自分の事しか考えられない時もある。でも結局はさくやが幸せならやっぱりあたしは幸せなんだ。


 ペットショップ巡りを終えると、さくやは車のまま郊外のカラオケ店に連れて行ってくれた。

「さくやが上手いから二人きりは敷居が高いよ。」

「大丈夫だって。」

 受付を済ませ、二人きりでお部屋に入る。飲み屋さんでみんながいる中歌ったことはあったけれど、二人きりでカラオケに来るのは初めてだった。

「さくやが、沢山歌ってね。」

「お前も歌え。」

 あたしは、さくやが二曲歌う間に一曲歌うか歌わないかのペースで歌っていた。

 相変わらず、さくやは歌が上手くて、セクシーで時々ハスキーになる声は聴きごたえがあった。

 そろそろ終了時間になるって頃に、さくやが「次、お前への曲だから。」と言うから画面を見たら『HAPPY HAPPY BIRTHDAY』と書いてある。

 DREAMS COME TRUEの曲だった。その曲はとても明るくてHAPPYになれる曲だった。覚えず、涙がでる。

「ありがとう。」

「泣くな。」

「泣いてないよ。」

「一日遅れたけど、誕生日おめでとう。」

 この曲を歌うためにカラオケに連れて来てくれたのかもしれない。そう思うと、さくやの優しさに感動した。

 昨日まで、最悪なお誕生日だと思っていた。

 でも、さくやが演出してくれたお誕生日祝いはとても素敵で、こんな幸せなお誕生日はない。

 そう、思った。

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