2002年9月 SIDE SAKUYA
昨日とーこが帰って来た時間を俺は知らない。十一時までは記憶があるがその後は眠ってしまった。翌朝とーこに聞いたら二時十五分過ぎに帰って来たそうだ。それなのに今朝は七時前に出て行った。とーこの仕事は時々ハードだ。今、精神を病んでいるのだから、そんなに酷使されなくてもいいのにと思う。
とーこは昨日誕生日だったのに、一日中職場にいた。俺と時間を過ごしたいからってこの家に帰って来てほしいと言っていたけれど、結局一緒には過ごせなかった。
今日は比較的早く帰って来られるようだから、昨日の埋め合わせが出来るといいと思う。
午後五時を過ぎてとーこから『今から帰るね』とメールが入った。
『職場近くのセブンで待ってろ。迎えに行く。』
今日はとーこを連れて行きたいところがあった。
『判った。ありがとう。』
ケツポケットに財布だけ入れて携帯を持って車を出した。ここからとーこの職場までは十分もかからない。
コンビニの駐車場に仕事用に地味目な格好をしたとーこを見つけてクラクションを軽く鳴らす。気付いたとーこが車に寄って来て助手席に座った。
「迎えに来てくれてありがとう。」
「ペットショップ巡りしようぜ。」
それは、俺の趣味で、とーこが喜ぶことか判らなかったけれど、思いつくデートプランはそんなところだった。
「うん。」
とーこの声が弾んだから良しとしよう。
それから俺たちは何件ものペットショップを巡った。
俺のお目当てはもちろんヨークシャーテリア。その他にもマルチーズや、それらのMIXのマルキーなんかが可愛くて仕方なかった。
「やっぱ、飼うならヨーキーだよなぁ。」
値札は見ないことにして、夢を言ってみる。
「さくやはヨーキー大好きなんだね。」
「おう。」
多分俺は犬を見る時、相当ニコニコ顔をしていると思う。とーこもニコニコしていた。
とーこがこれで癒されるといいな。
そう、思った。




