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2002年5月 SIDE SAKUYA
メアドを消してしまったことをこんなに後悔したことはない。
今まで、メアドを消して、その後逢いたいと思ったオンナはいなかったから、こんな気持ちになるなんて思ってもみなかった。
とーこを失った傷口は大きい。
あの、癒される感じをもう一度味わいたい。
誰も言ってくれない、魔法のような言葉をもう一度聞きたい。
それは、俺の我儘だと知っていた。でも……。
俺は携帯を出して、思い出そうとする。
とーこのメールアドレスを。
こんな時、とーこにアドレスを入れさせたことを後悔する。
確か、簡単な単語と数字の羅列だった。
とーこに似てるもの。あの時、あんまりにも似てるから笑ったんだった。それが何だったか思い出せない。前髪を上げてみたら似ていた、デコの広いキャラクターだった気がする。
そうだ、QOOだ。それとヒヨコ。
あとは、誕生日。記念日に弱いオンナは多いから覚えておいてやろうって、確か覚えていたはずだ。
それを、ドットだったかハイフンだったかアンダーバーだったかで繋いで一つのアドレスが出来ていた。
勝手かもしれないけれど、もう一度、とーこに逢いたかった。
逢ったら、この傷口が治る気がした。
確か、こんなメールアドレスだったはずだ。
俺は簡単な文を打ち込んで送信した。
届け。




