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俺たちの進む道には  作者: 風 桜月
2002年5月
35/92

2002年5月 SIDE SAKUYA

 どーも後味が悪い。

 とーこと最後に逢った日から、奥歯に物が挟まったような、嫌な違和感がずっと付きまとっていた。

 こんな気持ちになったのは、初めてだ。

 実紗と言い合いした後だって、俺は普通に飯を食って酒を飲む。

 なのに、今は浴びるように飲まないと酔っぱらうことすら出来ない。

 GW中ビアンイベントがいくつか行われているって情報は耳に入っていたけれど、仕事が忙しくて行っている場合ではなかった。

 あれから、何日経った?無茶苦茶に飲んで、車の中で夜を過ごして、仕事して、俺の中の日にちの感覚はグチャグチャだった。


 あの時の営業スマイルみたいな微笑みが気に食わねー。

 ホッと息を吐いた意味が判んねぇ。

 気付いたら、とーこのことばかり考えていた。


 こんな時、とーことしゃべりてぇ。

 何だ、この感覚?

 とーことはもう二度と逢わないと思っていたのに。二度と逢わなくて良いと思っていたのに。

 携帯に着信を伝えるランプが光っていると、そんな事絶対ないと思いながら、とーこじゃないかと、ちょっと期待する。今までだったら、実紗じゃないかと期待していたはずなのに、だ。

 仕事を終えて、携帯をチェックする。

 今日もイベントがあるらしく、行こうと誘うダチからのメールや、飲みに誘う昔、遊んだオンナからのメールがたくさん入っていた。その中に実紗からのメールを見つける。

 今までだったら実紗からのメールは輝いて見えた。でも今日はスルーするとこだった。

『まだ、日にちは決まってないんだけど、引っ越し先が決まったから。タワーマンション。日にちが決まったらまたメールするね。』

 タワーマンションってたら、豪華なヤツだ。きっとパパでも出来たのだろう。じゃなきゃ、いくらナンバーワンを毎回とっている実紗でも住むことは出来ないはずだ。

『おう。待ってる。』

 嬉しいはずなのに、何だかワクワクしない自分が、いた。

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