表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たちの進む道には  作者: 風 桜月
2002年4月
34/92

2002年4月 SIDE TOOKO

 あたしが面倒くさいことを言えば、さくやはきっとあたしを嫌いになる。

 面倒くさいオンナだからと、二度と逢いたくなくなる。

 その思惑は当たった。だから、ホッとした。

 本当に、本当に大好きなさくやだから、あたしの事なんかで面倒な思いをさせるのは嫌だったから。

 終始不機嫌そうなさくやがお店を出てから、あたしも斗亜さんといつきさんにお礼を言って直ぐにお店を出た。

 もう、二度とさくやとは逢えない。なら、もう泣いても良いのかもしれない。

 久々に外でタバコをつけて一口吸って息を吐く。

 その瞬間、あのタバコの香りのするキスを思い出した。

 唇を指で触ってみる。

 不意に、涙がこぼれた。


 あの強引な抱擁は遊びだったって、思うのが嫌だった。

 あの甘い言葉が酔った勢いだって、判りたくなかった。


 でも、もう知ってしまった。

 だから、泣いていいんだ。

 その場に立ち止まったら、胸が苦しかった。

 息が、上手くできない。涙が次から次に出てきて止まらない。

 あたしは、街中で立ち尽くしてしばらく泣いていた。


 本当に大好きだった。

 出逢ってからさくやに逢った日数なんてほんの数日。

 そんなの、どうでもいい。

 本当に大好きだった。

 あの、誰も信じないと書いてある顔も、鋭い眼光を秘めた瞳も、細いけどしっかりした肩も、抱き締めてくれた腕も、握ってくれた手も、甘くてハスキーな声も、柔らかい唇も、全部全部。


 さくやはもういない。

 あたしは、これからどうやって生きていったらいいのか途方に暮れる。

 大げさかもしれないけれど、さくやはあたしの人生の全てだった。

 さくやから、電話もメールも来ない。さくやと逢うこともない。

 どう生きていけばいいのだろう。

 涙が、止まらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ