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俺たちの進む道には  作者: 風 桜月
2002年4月
23/92

2002年4月 SIDE SAKUYA

 とーこの住んでいるところが、ばぁちゃんの家の比較的側で土地勘があったから良かった。

「お前ん家、マーキュリー病院の側なのな。」

「うん。歩くと三十分くらいかかるけど。」

「ばぁちゃん家、近いんだ」

 それで、とーこの家の最寄りの駅まで、なんとか迷わず行く事が出来た。

 離れがたかったけれど、明日も仕事がある。

 駅前のロータリーに車を停めて、とーこを降ろした。

「さくや。今日は誘ってくれてありがとう。」

「おう。またな。」

「気を付けて帰ってね。」

「お前もな。」

 駅から近いと言っても、この辺は治安があまりよろしくない。本当は家の前まで送ってやりたかったが、この静かな住宅街に俺の車のマフラーは煩すぎた。

 とーこが見えなくなるまで見送って、車を発進させる。

 幹線道路までは抜け道の細い道を通っていくか。

 走り出してから、五分くらい経ってバックミラーにいかつい車が映った。車の隣にはノーヘルのバイクもいる。なんだかヤバい空気がプンプンする。

 俺のプレリュードは改造はしていないけれど、マフラーが少し煩いのと、後ろ全部にスモークがかかっているからか、ヤン車に間違われることが多い。

 出来るだけ彼らを刺激しないように、幹線道路に早く出たかった。

 すると、いきなりバイクに乗っているノーヘルの男が、金属バットを振り下ろしてきた。

 咄嗟に、ハンドルを切ってよけたが、車の側面に少し傷がついた。

 俺が咄嗟によけたのが不満だったのか、もう一度金属バットが降り下ろされる。またハンドルを切ってよける。その繰り返しだった。

 運転に集中しないと車がボコボコになるから、警察に電話できなかったし、停車したら奴らの餌食になってしまう。

 もう少しで幹線道路ってところで、奴らは消えていった。

 正直言って、怖かった。

 こんななりしてるが、俺は平和主義者だ。見てくれで喧嘩強そうだと認識されているが、そんなことはない。実際、中学の時も高校の時も、直接手を下したことはない。見ている側だった。

 今更、警察に電話しても、ナンバーも覚えてないし、無駄だと思って俺は帰路についた。

 もう、この辺りを走るのはしばらく止めておいた方がいいな。

 とーこを送ってきてやれないのは残念だけれど、一歩間違えれば傷害事件だ。

 しばらくして、自分の手が震えてることに気付いた。

 なんてことない。こんなことより怖い現場なんて何度も遭遇しているはずだ。自分に言いきかせる。

 とーこに何て言おう。とーこは感じやすいから、なるべくソフトに伝えなければビックリして自分を責めかねない。俺はメールではなく自分の口から伝えることにした。

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