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俺たちの進む道には  作者: 風 桜月
2002年3月
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2002年3月 SIDE SAKUYA

 大音量の音楽が煩くて心地良い。

 ビールを一口飲みながらフロアを見渡す。

 きっと世間から見たらこういう場所って、暗いイメージなんだろうな。

 「レズビアン」って言葉がもう暗いし、偏見の塊だ。

 でもここにいる奴らを見ていたら、そんなの嘘のようだ。みんな明るい音楽にのって、飲んで踊って楽しんでる。

 一度MIXのイベントで俺のダチが男に言われたことがある。

「男に不自由してるから、こんな世界に入ったんだろ?俺が抱いてやれば、また元に戻れるよ。」

 馬鹿じゃね?そういう考えの男がいるから、ビアンはどんどん男嫌いになっていくんだってどうしてわかんねぇんだろ。しかも「元に戻る」ってなんだ?

 俺たちはこれが普通の姿だ。オンナがみんながみんな男を好きだと思うなよ。

 傷害事件になったら困るから、その男を殴るのは止めておいてやったが、代わりにその男が目を付けたフロアにいた一番の美人を、目の前で口説き落としてやった。

 あの時の優越感は忘れねぇ。悪いが、俺はその男よりイケてる自信だけはあった。


 今日も、大体いつものメンツか。もう、飽きた。新しい顔が入ってくるとハイエナのように寄っていくタチども。そんなに女に不自由してるのか?

「桜夜さん。ビール持ってきました。」

「おう。サンキュ。」

 こういう場に白シャツにネクタイってのもどうかと思うが、真っていうこのタチは「これがボクのポリシーなんです。」って何度言っても聞かなかった。

 じゃあ、好きにすればいいんじゃね。俺じゃあねぇし。

 一緒に飲んでるヤツは俊。真だの俊だのこの世界で名前を覚えるのは一苦労だ。多分、本名は仁美ちゃんだの香織ちゃんだの可愛いなまえなんだろう。

 こういう時、中性的な桜夜って名前は助かる。

 今日も不作か。これ以上いても仕方ない。

「MU行って飲みなおそうぜ。」

 行きつけのビアンバーがある。イベントがある日は、そっちに流れるオンナも多いから、そっちで収穫があるかもしれない。真と俊を誘ってイベント会場から出た。その時、オンナとすれ違った。見かけないオンナだったが、顔までは見てない。とりあえずビールが飲めればどこでも良かった。





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