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第四話

時は、昼休み、なんと俺は今トイレにいる。

トイレでぼっち飯かと思った諸君、妄想乙。妹のラブレターを見るために決まっているだろうが。

とりあえず軽くハートのシールをはがし、中身を恐る恐る拝見してみる。


『寺田 健太さんへ_________


俺はすぐさま中身を封筒に押し込んだ。

ないないないないないないないない。どれくらいないかと言うと、ドラゲナイ。

どうしてくれようかこの空気。

というか、このラブレター、俺実はもしかしたら自分あてかもとか思っていた。今何人かひいたかもだが、普通物語のパターン的にそうだろ。

俺をそこらにいる鈍感系主人公と同じにされちゃあ困る。『え?なんだって?』とか言わないからね。一言一句すべてを聞き取ります。

まさかのヒロインが俺のことではなくて、その友達に恋してしまっているときってどんな反応をすればいいんだ。これもう俺が主人公である意味ってあるんですかね。

俺は深くため息をついて、トイレを後にした。

教室に入ると、数少ない友達の寺田が話しかけてくる。

「どこ行ってたんだよー。勇介ー。」

「そんななんとかの契約者に出てくるキャラのものまねされても反応に困る。」

「そうつれないこと言うなよー。バサッチー。」

「誰がバサッチだよ。」

名前出ちゃったよ。そうなると俺の妹は魔王の娘なのか。そうなのか。

とりあえず俺は自分の席に戻り、寺田にはばれないよう細心の注意を払って妹のラブレターをバッグの中にねじこんだ。それと同時に寺田は話を切り出した。

「つーかさ、お前の妹なんで辞めちまったんだろうな。」

一応こいつなりにゆりがアイドルだと周りに露見しないように言葉を濁してはくれている。なんか頼りなさそうな感じなんだが、何かとこういう気づかいのできる奴であることは確かなのだ。

なんで辞めてしまったのかという、理由はお前のことが好きで告白するためだと思うけどね。

俺が答えることができないでいると、寺田は軽い口調で言った。

「まあ、どうでもいいか。それより今週のワルブレみた?」

ゆり、お前は本当にこいつのことが好きなのか。お兄ちゃん心配だなあ。

つーかなにこいつ、何がワルブレ見た?だよ。聖剣振り回して、禁呪詠唱しますよ。綴りますよ。そんでもってさすがですお兄様と言ってもらうんだ。

「ワルブレ、録画してるから今日帰ってから見るわ。」

「そうなん?丁度良かった。俺もまだなんだよなあ。放課後、お前の家で一緒に見ようぜ。」

「ああ。おっけー。」

え?俺の家で見るの?俺の家に来るの?妹いるよ?

「じゃ、放課後行くわ。」

ええええええええええええ!?どうしよう修羅場じゃねえか。

もしゆりとこいつが顔合わせでもしてしまえば、トラブるどころじゃねえ。ダークネス一直線だよ。

この現状を打破する台詞を、そうあれだ。


「え?なんだって?」








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