プロローグ
『千年に一度のアイドルと言われていたゆりりん、通称、篠村ゆりさんが昨日自身のライブで引退を宣言されました。』
俺はテレビの画面に目をやり、眉をしかめた。
千年に一度のアイドルなどと言っているが、千年以上前からアイドルと言う概念が存在していたわけがないだろうが。などと思っているわけではない。いや、ちょっと思ってます。
まあそれはさておき、国民的アイドルゆりりんの引退は俺にとっては死活問題になりかねない。
それくらいこのニュースは俺にとっては衝撃的だった。
というわけで、ゆりりんの紹介を始めよう。
篠村ゆり、本名は芦原ゆりだ。年齢は十五歳の中学三年生、身長は160センチで体重は知らにゃい。許してにゃん。
好きな食べ物は肉。嫌いな食べ物は野菜。あのティラノサウルス様も卒倒ザウルス。
芸歴は十年で、子役から今では女優兼アイドルとなり、演技と歌と踊りを見事にこなすゾロと同じ三刀流である。
それにしても彼女のここ三年の人気の伸びは凄まじく、芸能界でも今年の期待株として見られていたはずである。その彼女がなぜ引退宣言などおこなったのか。
とまあ、この辺にしておいて、皆様お待ちかねの俺の紹介だ。
俺の名前は芦原勇介十六歳。高校一年生。
「ねえ、私の朝食は?」
そう言って現れたのは、寝起きで不機嫌そうな俺の妹、芦原ゆりである。
まだ俺自己紹介の途中なんですけど。