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数学研究会の変態日和  作者: 不完全な世界
第二章 選択の犠牲
8/21

大掃除

更新が遅れてしまいました。

申し訳ありません。

如月さんと友達になった後、他愛のない雑談をして昼休みをつぶした。


「佐藤、そっちのバケツをこっちに持ってきてくれ」

「わかった」


新学期の定番といえば、始業式と大掃除の二つだと僕は思う。現に今僕たちは大掃除を行っているしな。

というわけでたまたま一緒の掃除の場所になった如月さんと掃除をすることになった。まあ、二人とも友達いないし、こういう集団行動の時は決まって僕と如月さんの二人だけで組むだろう。


「しかし、雑巾がけって小学生以来だよ。中学生の頃はやらなかったのに」

「なんでも学期の初めには大掃除で雑巾がけをするらしい。その他にも窓ガラス拭きやクリンザーを使って床磨き、極めつけは普段掃除をしない教室の掃除だしな」

「・・・・・・初めにしゃべりかけたときから思ったけど、如月さんって少し口調が男っぽいよね」


僕の発言にムッとした表情をする。


「私がどんな口調で話そうがそれは私の勝手だろう」

「うん。そうだね。気を悪くしたならごめん。別に非難するつもりはなかったんだ」


その言葉にますますムッとする如月さん。理不尽だ。何で僕のまわりには理不尽な人たちが集まるのだろうか。結衣ちゃんとか脅迫犯とか息子に女の名前をつける父親とか。


「そういうおまえはなんだか話し方が一歩後ろに下がっている」

「どういう意味?」

「気をつかいすぎているという意味だ。友達に対してそんなしゃべり方をしたら友情は生まれないぞ」

「そんなことを言われても、すぐにはどうにかならないよ」


口調だなんてそんな簡単に改善されるものではない。

結衣ちゃんはすぐに口調が変わるがあれは生まれ持った才能?みたいなものだし。


「いや、いますぐなおすべきだ。じゃないとこっちも気をつかってしまう」

「・・・・・・多分無理だね」

「うるさいな。無理かどうかじゃない、やるかやらないか、だろう。まったく」


やるかやらないか。

その言葉は理にかなっている。

けどとりあえずバケツを早く受け取って欲しい。腕がもうガタガタで結構きついんだけど。

明日は筋肉痛だな。


「そんなことよりも早くバケツを受け取ってくれ」

「おお、すまなかった。・・・・・・じゃなくて話をそらそうとするな!」

「いや、とちあえずバケツを受け取ってよ」

「うるさい!今すぐ話し方を変えないとバケツを受け取らない」

「理不尽すぎるでしょ!」


くっ、やはりツンだ。この中途半端なSめ!

ここで結衣ちゃんならきっと『ほら、もっと腕を高く上げなさい。早くしないと靴を脱がせて素足を踏むわよ。もちろんハイヒールで』ぐらい平気で言うぞ。


「そっちこそ話し方を今すぐ変えるべきなんじゃないのかい」

「どういう意味だい」

「どうせそんな言い方しかできないから友達ができないのだろ」

「べ、べつにそんなことないもんっ!」

「ふっ、本当は?」

「ぐはっ!」

「おや、図星かな(笑)」


思い知ったか、ツンめ!結衣ちゃんに直接鍛えられた僕にとってはツンなど貧弱すぎる。


「あれ?もしかして本当に友達がいないのかな?」

「ぐぐぐぐ、そ、そんなわけがないだろう!友達なんてお前の他にもたくさんいる!百人いるもんねだ!百人一緒に富士山でおにぎりも食べたことがあるんだぞ!」

「いや、それは流石に嘘ってばれるよ」

「冷静なツッコミをするな!」

「嘘つくのならもっとまともな嘘をつこうよ」

「まだツッコミ続くのか!」

「しかし、残念だね。友達がいないなんて」

「いつまで続くんだ、この話題・・・。っというかお前だっていないだろう」

「残念ながらいるんだよ」


結衣ちゃんだけだけど。


「なっ、なんだと・・・・・・」


目に見えてわかるぐらい落胆している如月さん。・・・・・・さすがにやりすぎたかな?もう顔が真っ赤で、ものすごく恥ずかしいのかうつむいている。

もうここまでにして謝るか。

そう思った直後のことだった。


「こんの裏切り者がー!」


いきなりほうきでフルスイングって、殴ってきた?!


「ぐはっ!」


バケツを持っていた僕は当然、ほうきをさけることも受け止めることもできずに、顔面でほうきをウェルカムすることになる。

いや、いくらなんでも酷すぎだろ!何で顔面でほうきを迎えることになるんだ!


「うぅ。この仕打ちはやりすぎだと思う。ってかさっきの攻撃でバケツを窓に落としちゃったじゃないか。誰かに当たってたらどうするんだよ」

「う、うるさい。ほらさっさとバケツをとってこい。人に当たってたらお前が誤ってこい」


まったく、僕のまわりには理不尽な人が多すぎる。

その後、バケツをとりにいったが幸い、バケツが落ちた場所は掃除場所ではなかったので誰もいなかった。多分、誰にもバケツは当たっていないと思う。




「じゃあ、入ろうか。結衣ちゃん」

「うん。気がのらないけど一応部員になったから顔は見せないとね」


学生にとっての放課後とはだいたいの人が部活に費やすものだ。昨日、僕もそのうちの一人になった。

緊張してドアを開く手が汗ばんでいる。

相手はあの水無月先輩だ。はっきりいって何を考えているのかがわからない人だ。

結衣ちゃんも水無月先輩のことについて調べたが、学科名といつも考査で学年主席をとることと、性格は冷静で極めて真面目な性格ということしかわからなかった。

もう一度結衣ちゃんに入るよと言って、ゆっくりとドアを開ける。

ドアは手の動きに合わせて音をたてながら開き、謎が多い人物――――水無月先輩の姿を見せる。

水無月先輩は昨日と同じようにイスに優雅に腰をおろしていた。

・・・・・・上半身裸でブーメランパンツをはいて。


「お待ちしていましたよ、二人とも。さあ、座ってください。紅茶をいれますから」


水無月先輩は紅茶をいれるために茶葉とコップとガスコンロを取り出した。ブーメランパンツをはいたまま。


「あの、水無月先輩・・・・・・」

「ああ、私としたことが、菓子を切らしていました。すみませんが買いにいくために席を外してもいいですか?」

「いいえ、結構ですけど」


もちろん断る。だってブーメランパンツのまま菓子を買いに行きそうだったから。

脳内にブーメランパンツをはいたまま買い物をする水無月先輩の姿が浮かぶが、あまりにもシュールすぎて唖然とする。というか自分が通行人だったら絶対に通報する。


「紅茶ができました」


そう言って紅茶を僕達の前に置く。もちろん、ブーメランパンツで。

結衣ちゃんも僕も沈黙するしかなかった。いや、だってブーメランパンツをはいている人に丁寧なおもてなしをされることってまずないと思う。


「あの、水無月先輩。一つ質問してもいいですか?」


結衣ちゃんが口を開く。


「何でブーメランパンツをはいているのですか?」

「神崎さん、これはですね・・・・・・」


意味深に間をおく喋り方に、思わず緊張してしまう。

そうか、きっと深い理由があるはずだ。じゃないと学年主席で真面目な性格の人がブーメランパンツなんてはく訳がない。


「この水着はブーメランパンツではなくショートパンツというんです」

「質問に答えるんゃなかったのですか?!」


思わずつっこんでしまったじゃないか!


「いや、間違った認識をされているので」

「重要なところはそこじゃないでしょう!」

「いえ。重要です。ブーメランパンツとは女性用水着のようにまたまでしか生地がないですがショートパンツはふとももの中間より上のところまで生地があるのです。そして主に練習用の水着として塩素に強く、長持ちします」

「なに冷静に指摘してんですか!」

「大事ですから」

「あなたが校舎内で水着をはいている以上に重要なことはこの世界には存在しません!」


全力でつっこんだせいか息が上がる。


「さあ、質問に答えてください」

「わかりました」


水無月先輩はいつもの笑顔で


「大掃除の時に洗剤をとりにいっていたら空から水の入ったバケツが落ちてきまして濡れてしまったからです」


・・・・・・スイマセンデシタ。




部室で水着をはく先輩って変態すぎる・・・。

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