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数学研究会の変態日和  作者: 不完全な世界
第二章 選択の犠牲
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初めての友達作り

ほんっとーにシリアスすぎることしか書けない。


「何でおまえと食べる必要があるんだ」


二つわかったことがある。

僕は昼食の誘いを断られた。

そしてこの女の子は人からの誘いを平気で断るようなわがままな人(予想)だ。

だからどうした。

少なくとも僕にはこの状況を笑って済ます余裕がある。

伊達に結衣ちゃんにきたえて(いじめて)もらったわけではない。はっきりいってこんなの全然Sなんかじゃない。ツン程度だ。次元が違う。


「そんなこと言わずに一緒に食べようよ。」


できる限りの笑顔を作る。

外交でも敵意がなく、友好になりたいことをアピールしていくことが大事だ。戦争をして仲良くなる国もあるが戦争してる時点で結構な損失がでてるから僕はその方法は好きじゃない。


「うわっ。ちょっとなにその笑顔、気持ち悪い」


平和条約ぶち壊してきたな。

いつか結衣ちゃんの生贄にしてやろうか。割と本気で。もはや戦争ではなく一方的な暴力だ。


「本人の前でそんな失礼なこと言っていいの?」

「うん。だって本当のことだから」

「本当のことだからって言っちゃいけないことがあるだろう」

「こんなことを言わないとお前は離れないだろう」

「残念だけど僕はこんなんじゃ折れないよ」

「そう、だったら単刀直入に言うね。私に関わらないで」


こんな中途半端なSはなんか嫌いだ。どうせなら結衣ちゃんと同等までとは言わないけどちゃんとしたSの態度をとってほしい。断じて僕がもっといじめてほしいと思っていることではないが。

中途半端なS、ツンだな。 ツンはなんか嫌とは言えないが釈然としない。



「そうか、だったら一人で食べるよ、この席で」

「ちょっとどういうこと。離れてよ」

「何を言ってるの?僕はただ単に窓側の席で弁当を食べたかっただけなんだ。僕がどの席で食べようが構わないよね」


彼女は少し考えながら「それならいい。ただし話しかけないで」と言った。

・・・・・・しかし、なんだろうか。いつもは気弱なのに彼女にだけは少し強気でいられる。

少し、むっっとしていたこともあるけどやっぱり一番は相手がツンだからだな。やはりSには負けるがツンには勝てる。

S>Sにいじめられた犠牲者>ツン、っというところか。


「私の隣で食べるのは別にいいけど話しかけないでね」

「うん、わかった」


そういって無言で弁当を開けて食べ始める。

いつも母さんが作ってくれる弁当は普段食べ慣れた味だが学校で、それも一応、女の子と一緒に食べる弁当は格別だ。

結衣ちゃんと一緒に食べているがたまには違う人とも食べるのもいいかもしれない。この調子で友達を作っていこう。 


「ねえ、何か話したらどうなんだ」

「・・・今の言葉は空耳ですよね」

「私はお前に隣で食べさせることを許可したんだ。だからおもしろい会話を作る義務があるだろ!」

「初めの言葉と矛盾してない!?」

「うるさい。そんな昔のことなど忘れた」

「昔ってついさっきだよ!」

「うるさいね。机ごと弁当をひっくり返すよ」

「理不尽にも程があるでしょ!」


そういって僕の机(正確には僕の机ではないが)に手をかけて倒そうとする。

なにこれ理不尽すぎる。親にどういう教育されてきたんだ?それとも幼少期の何らかのストレスによって精神的障害があるのか?さすがにこれは怒るよ。

もういい!ツン子ちゃんと呼んでやる!


「わかったよ、ツン子ちゃん」


その瞬間、弁当が机ごと教室を飛ぶ。

机はきれいに円を描きながら窓ガラスを突き破り。

机の中の顔も名前も知らない人の教科書はお食事中の方々に降り注ぎ。

――――そして僕の弁当は中身を散らしながら床に落ちる――――

――――の前になんとか机に全体重を乗せて回避した。


「ちょっとなにしてくれてんの!?」


当然の抗議。道を歩く人の十人に聞けば十人は僕に賛同してくれるだろう。それぐらい彼女はマジだった。


「お前が変なあだ名で呼ぶからだ!」

「たったそれだけの理由で人の昼食を投げ飛ばすというの?!」

「うるさい、お前にとってはそれだけかもしれないが、人をあだ名で呼ぶ、この行為は地球を破壊することになるぞ」

「どういう因果で!?」

「私をあだ名で呼ぶ⇒ショックで不登校になる⇒あだ名で呼んだ生徒に恨みをもち核爆弾を作る⇒爆破⇒爆破した場所がたまたま外国だった⇒核戦争開始⇒地球破壊、理解したか」

「いいや!全然まったく!というよりそこまでに至る可能性は万に、いや兆に一つもないっ!」


理解してたまるかっ。どうやったらあだ名で地球破壊につながるんだよ!


「うるさい!どうせお前にはいじめられる側の気持ちなど理解できないのだろう」

「・・・・・・」

「今までも私みたいに一人でご飯食べている人を狙ってちょっかいを出し続けていたのだろう、だから私の気持ちなんておまえには――――」

「黙ってよ」

「え」

「何が『いじめられる側の気持ちがわからない』だ。そんなの痛いほどによくわかる。あれは一方的な暴力・・・・・・いや、蹂躙だ」

「・・・・・・」

「マスメディアで報道されているいじめなんてほんの一部の話だ。あんな新聞やニュースで何がわかる。現に今でもいじめは止まらない、むしろいじめは悪化している」

「・・・・・・」

「いじめはもはや社会が思っているいじめではない。あれは精神的殺人だ」

「・・・・・・ごめん」

「いや、別にこちらこそごめん。空気を悪くしてしまった」


荒れている精神を落ち着かせようと水筒のお茶を飲みほす。全然味なんて感じなかったが冷たいお茶が口と食道を流れるにつれ頭の中もきれいになっていく。

あの頃は、思い出したくない。あの時の苦しみを、憎しみを、痛みを、僕は一生忘れることはないだろう。そして彼らを恨み続けるだろう。

そう、彼らがいたから結衣ちゃんは最強のSに目覚めてしまったんだ・・・・・・。


「おまえはいじめられたことがあるの?」

「うん。小学生の頃に」

「そう」


彼女は悲しそうな顔をしていた。しかしそれは同情の表情ではなかった。

同情は所詮しょせん同情だ。他人の境遇に同情するとしてもその悲しみはたかが知れている。

彼女の表情は同情なんてことでは済まされない。同情だけでそんな顔をする人はマザーテレサぐらいだろう。マザーテレサに会ったことなんてないが。

そんな顔をされたら困る。まるで・・・・・・


まるで俺が君を傷つけたようじゃないか。


「友達になろう」

「え?」

「見た感じ君も友達がいないようじゃないか」

「まあ、そうだけど」

「だったらお互いにとってこれは得だ。本来なら友達って得で作るものではないけど」

「でも、いいの」

「当たり前だ。こっちからお願いしているんだ」

「・・・如月きさらぎ椿つばき、それが私の名前」

「僕の名前は佐藤美咲。好きに呼んでくれ」


多分次からは数学研究会の活動が書けると思います

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