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数学研究会の変態日和  作者: 不完全な世界
第二章 選択の犠牲
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当たって砕けた

コメディーを書きたいけどうまくいかない!

結衣ちゃんが数学研究会に入部を宣言した後、一言も話さず一緒に家に帰った。

そしてまっすぐ自分の部屋に向かって着替えもせずにベッドに体を投げ出した。

結局、僕はただ理想を夢見ていただけの、ただの弱虫だ。

現実から逃げるように布団を頭からかぶせた。

結衣ちゃんはまた僕のために自分を犠牲にした。そして僕は犠牲になってくれたことに安堵していた。

どうしてこんな最低な野郎を助けたりするんだよ、もうほっといてくれよ。

僕は結衣ちゃんが思っているような人畜無害で優しい人間なんかじゃない。ただの気弱で根性なしで、幼馴染を見捨てるようなやつだ。

明日どんな顔で結衣ちゃんに顔を合わせればいいんだ。きっと結衣ちゃんはいつものようにお姉ちゃんのような優しい笑顔で僕を迎えてくれる。

そんな人を見捨てた僕はどう接すればいいんだ。

明日なんてこなければいいんだ。

明日が来る前に世界が終わったら、明日なんてこなければどんなに幸せか。

神様、頼むから明日をこさせないで。そのための代償なら何を払ってもいいから。

悪魔でも神様でも誰でもいい。世界をなくしてくれ。




当たり前だが、世界は残酷なもので明日を迎えてしまった。

そして今僕はいつもの待ち合わせ場所の結衣ちゃんの家の前に来ている。

ここで登校拒否するという手段はもちろん考えた。けどそれは本当に負けたように思える。ここで逃げたらずっと僕は僕のままだ。だから逃げない。

ちょっと結衣ちゃんに会うのが緊張したのか、今日は約束の時間より少し早く来てしまった。少しといっても30分程で全然少しじゃないが。

っと、思ったら結衣ちゃんが玄関からちょうど出てきた。


「あれ、何でこんな時間に来ているの?」

「結衣ちゃんこそ何でこんな早い時間に行こうとしてるの?」


もしかして結衣ちゃんは僕のことを心配していたのだろうか。


「そ、それはその。別にただ今日は早く家を出ようかなーって思っただけだよ!他意はないんだからねっ」


そんな結衣ちゃんの必死に嘘をつく様子がかわいくて不本意だが自然とほころんでしまう。


「そういう美咲君こそ目がはれているけどもしかして泣いていたの?」

「何を言っているの。僕は確かに気弱で貧弱だけどさすがにあんなことで泣くことはないよ」


もちろん嘘だ。


「大丈夫だよっ。あの極悪非道の脅迫犯が変なことをしてきたら私が仕返ししてあげるから!」


やっぱり気にしていたのか結衣ちゃんは。

いつも通りの明るい笑顔と声が、僕の心をえぐる。

頼むからそんな顔をしないでくれよ。そんな顔をされるくらいなら僕を仇のような目でみてくれたほうがましだ。


「ありがとう結衣ちゃん。けどできることがあったら僕にも手伝いをさせて。僕も結衣ちゃんのことが好きだから、できるだけ君の味方をしたいんだ」

「はうっ!そ、それってもしかして・・・・・・」


そうだ。今の僕にはこれしかできないけど、いつか結衣ちゃんを守って見せるから、だから今日はこの言葉だけで自己満足をしよう。

都合がいいことはわかっている。




「I was nervous yesterday , because I slept only short time.」


英語は結構おもしろいと思う。

自分たちが普段当たり前のようにつかっている日本語を英語に翻訳するのは意外と楽しい。一つ一つの単語を英語に訳してそれらを並べ替える。パズルみたいなものだ。

けど将来の職業を英語関係の職業にしたり毎日授業の内容じゃないところを勉強したりするほど英語が好きというわけではない。


「Oh , Ken. We are going to take tests today. You looks tired. Are you OK?」


そんなに英語が好きな人たちはこの学校の英語科にいっている。

けど多分そんな理由で英語科に入る人は10人にも満たないだろう。

英語科を希望するほとんどの人たちの理由は倍率が低くて入りやすいからだ。だから進学校である北誠高校のクラスの中で一番偏差値が低いといわれている。


「No. I have awful a headacha. It does`nt seem to be able to hold out at all. 」


英語科といえば思い出したが昨日の剣道部主将、確か前中先輩だっけ?その人も英語科だったな。

人を見かけで判断するのはよくないがあの人はおそらく倍率が低いから入ったんだと思う。顔が体育会系であまり頭がよさそうに見えなかった。


「You need to go to the hospital. I wil tell teacher about your physical condition. 」


そんな思考をぐたぐたとしていたらいつの間にか授業が終わった。

さっさと教科書とノートを鞄に入れていつものように結衣ちゃんと一緒に昼ごはんを食べようとしたところで結衣ちゃんが猛スピードで教室を出て行った。

まさか僕を見捨てたのか・・・・・・?

いつかこのときが来るとは思ったけどまさか今日になるとは・・・・・・。

・・・・・・もちろんそんなことはないがな。

『今日はあの脅迫犯の弱みを握るために他のクラスに行ってくるから昼休みは一緒にいれないの。本当にっ、ごめんっ』

両手を胸の前に合わせて前かがみになってお願いする結衣ちゃんはなんだか新鮮だった。

どうでもいいが結衣ちゃんって入学したばっかなのに質問できる友達とかいるのかな。けど前の学校の友達がいるから別にいいのか。

さて、僕も誰かと一緒に昼ごはんを食べようか。

と、思ってまわりを見渡していたが・・・・・・知り合いがいない。

まさかとは思うけど僕ってぼっちなのか?

まさかな。

けど昔っから結衣ちゃんとずっとくっついていたから結衣ちゃん以外の人と交流を持った記憶がない。

なんてこった。僕は友達がいない。

今まで気づかなかったなんて典型的なぼっちじゃないか!

ここはやはり一人で食べるべきなのだろうか?でも一人で食べていたらまわりから絶対にぼっちって思われる。そしたらいじめられるかもしれない。

いじめられるのは嫌だ。あんな理不尽なことはされたくない。

幸い、まだそこまで時間は経っていない。見ると購買から帰った人たちが数人いる。

話しやすい人、僕と同じように気弱そうで一人でご飯を食べている人がいるならなおさらだ。

いた。

後ろの窓側の席に一人だけで弁当を食べている子がいた。

一つ前の席に腰掛け、弁当箱をその子の机に置く。ちょっと音が大きくなってしまったがかまわない。


「よかったら僕と一緒に食べない?」


何十秒か覚悟を決めて話しかける。

なるべく親しみやすいように、荒れている心を落ち着かせしゃべった。

勝算ならある。少なくとも相手が僕のような気弱な性格だったら断ろうと思っても断れないだろーーー、


「嫌よ」


即答でした。


進学校の英語のレベルがわからない

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