変態共、集結する
今回から話の文字数を少し多くしました。
多すぎる場合は報告お願いします。
「やっと学校が終わったね。私このときを楽しみにしてたんだよね~」
「へー、ソーナンデスカ」
「学校が終わったら美咲君のかわいい姿を見れると思ったら時間がものすごく長く感じたよ。こういうのなんていうのかな?じらしプレイ?」
「確かに僕も時間が長く感じたよ」
学校が終わったら地獄のひとときを感じると絶望していたら時間がものすごく長く感じた。
「うーん。今日はどんなことをしようかなぁ。縄で拘束してからの三角木馬、それとも鞭、初心に帰って踏みながらの罵倒もいいと思うなー」
「そんなことを学校で平然と言えるのってある意味すごいと思うよ。幸い今はだれもいないからいいけど」
「縄で拘束しての三角木馬は美咲君の痛そうな顔が見れてとてもいいけど叫び声しか聞けないからちょっといまいちなんだよね。その点でいえば鞭でたたくのは悲鳴がきけるし懺悔の叫びも聞けるからいいね。けどこれもいまひとつ何かが足りないよなー。踏みながらの罵倒は痛そうじゃないけど美咲君にとっては屈辱的だから興奮するね」
次々と拷問の方法が結衣ちゃんの口から流れていくのを僕はただただ聞くしかなかった。
この中でどれがいいかと言われたら踏まれてからの罵倒が一番いいです。いや、これは決して僕の特殊な性癖とか好みとかではない。断じて違う。ただ単に痛さが小さいだけだ。
だって三角木馬って軽く死ぬよ。やったことがない人はわからないかもしれないけど股間に体重がかからないように尻の方に重心を置くんだけどそれだと尻がわれる。もうわれてるけど。
だからといって尻より後ろに重心を置くと尾てい骨に全体重がかかってめちゃくちゃ痛い。だから尻で体を支えて足を三角のところでふんばって痛みから逃げる。
鞭は普通に痛い。服の上からだとなんとか耐えれるけど服を脱がされてやられると超痛いよ。あざできるから。
「僕的には踏まれて罵倒が一番いいんだけどどうかな」
だめもとでお願いしてみた。もっとも今の結衣ちゃんに僕の声が届いているのかはわからないが。
「ねえ、美咲君。下駄箱に手紙が入っていたらその手紙はなんだと思う」
「それってどういう意味?」
「とりあえず答えてみて」
そんなもの決まっているだろ。
「ラブレターだね」
「私もそう思うよ。けど・・・・・・、」
下駄箱を開けるためにしゃがんでいてここからでは結衣ちゃんの顔はよく見えない。けど長年の付き合いからどんなことを考えているのかはよくわかる。
「脅迫状が届いていた。どういじめようか美咲君」
楽しみにしていた至福の時(僕にとっての拷問)を邪魔された結衣ちゃんは一番怖い。たとえ邪魔した相手が総理大臣だろうと大統領だろうと徹底的にいじめられる。
結衣ちゃんの下駄箱に入っていた脅迫状は一目で見て脅迫状だとわかった。
封筒に脅迫状とばっちり書いてあるからだ。しかもわざわざ新聞の文字を切り取って貼っている。
脅迫状の中身はこうだ。
『私は神崎結衣と佐藤美咲の関係を知っています。この情報を学校の全校生徒、教師、家族や近所の方々に知られたくなければ神崎結衣と佐藤美咲の二人だけで校舎二階の空き教室に来なさい。なおこのことを誰かに話した場合二人の関係を流します』
まったくどこの命知らずだろうか最凶の結衣ちゃんに喧嘩を売りにきたのは。五体不満足ですむかどうかわからないぞ。
結衣ちゃんにいじめられた人間は本当に洗脳される。昔僕をいじめていた子たちは結衣ちゃんにいじめられた後に虚ろな顔で女王様って呼んでたからな。
僕のSMプレイはまだ遊びみたいなものなのだ。
それにしても僕と結衣ちゃんの関係というのはやはりSM関連だろうか。それしか心当たりはない。
話は戻るが今指定された二階の空き教室以外の教室を散策している。
結衣ちゃんのおしおきの目撃者をなくすためだ。
「そっちはどうだった美咲君」
「こっちの教室には誰もいなかったよ。言われた通り掃除道具入れも調べたけど盗聴器すらなかった」
「そう。となると例の空き教室に誰かが隠れて私たちの会話や行動を見られる可能性もあるわね。けどこれを確かめるには空き教室に入るしかない。しかたない行きましょう」
結衣ちゃんが既に女王様バージョンになっているが気にしたらいけない。
「失礼します」
ノックもせずに勢いよく結衣ちゃんがドアを開ける。
この時の僕はまだ知らなかった。
今この時より、僕の人生がすさまじく変化したことを。
「ようこそ。お待ちしておりました。どうぞおかけください」
僕たちを迎えたのは忘れもしない人だった。
「あなたが僕たちに脅迫状をだしたのですか?水無月先輩」
「いかにも。私があなた達を脅迫しました。水無月壮馬といいます。以後お見知りおきを、と言いたいですが既に私のことをご存じなようですね」
「そりゃああんなことを部活動紹介で話されたら誰でも忘れませんよ」
水無月先輩の話の内容は他の部と比べて逸脱していた。
いや、剣道部を除いて逸脱していた。
初めから終わりまで数学についての素晴らしさとか日常への活用方法、しまいには偉大な数学者の名前と公式をホワイトボードがすみまで埋まるぐらいにずらららと書いたていた。ちなみに、その時でてきた数学者の名前は一人も聞いたことがなかった。
新入生のほとんど全員寝ていて僕も眠かった。たとえどんなに数学が好きな人がいても数学研究会には入りたくないだろう。
「話を本題に移すわよ。水無月先輩、何故私たちをここに呼び出したんですか」
結衣ちゃんの声はいつもと比べ高圧的だ。近くで聞くだけで胸が圧迫して息が苦しくなる。
「いいでしょう。けど、まずはそこのイスにおかけください。飲み物はコーヒーと紅茶、どっちがいいですか」
「ふざけないで。話なら立ちながらでもできるでしょう」
「けれど私は招待した側であなた達は客人です。最低限のおもてなしをする必要があります」
「律儀なものね。脅迫犯とは思えない言葉ね」
「その言葉、褒め言葉として受け取りますよ。さあおかけください」
結衣ちゃんはまだ何かしゃべりたかったようだがイスに座らないと会話が続かないと思ったのかしぶしぶ水無月先輩の言う通りにした。
僕も結衣ちゃんがイスに座ったのを確認してからイスに座る。
イスに座った後に思ったがこのイスは上品な装飾がされている。それだけじゃない。このテーブルは大きくしかもテーブルクロスまでかけられている。少し離れたところには食器棚があり中には皿やカップがおいてある。その他にも電気ポットやクローゼット、扇風機や姿見等日常生活でよく見かけるものがたくさんある。
ここはただの空き教室ではないな。ベッドがあれば生活できる。
「私は紅茶をお願いするわ」
「じゃあ僕も同じのをお願いします」
水無月先輩は食器棚の一番下の引き出しから
茶葉とティーカップとやかんと、・・・・・・カセットコンロとカセットボンベを取り出した。
「電気ポットは使わないのですか?」
「紅茶を淹れるときのお湯には適温があります。温度調整にはやはりコンロとやかんを使ったほうがいいです」
そういって冷蔵庫から水を出しやかんにつぎ作業を始めた。
水無月先輩の作業は見ていてとても慣れてるものだとわかるほどスムーズだった。
あっという間にお湯を沸かし茶葉をティーカップにいれお湯を注いだ。
「あと二分ほどかかるのでまず要点だけ話しましょうか。あなた方を脅迫した理由は――――」
そこで言葉を止めてそれらしい雰囲気を作った
「あなた達を数学研究会に入部させるためです。拒否権はありません」