過去の過ちと暗躍
今回は僕がこの話を書く時に設定したキャラクターで一番好きな人がでてきます。
「美咲君が私のSMプレイに付き合ってくれることかな」
そう、結衣ちゃんはドSだ。
僕をいじめっ子から助けるときの過程で結衣ちゃんはドSになった。
そう、それは七年前の、蝉の声がうるさい夏の日のことだった。
「みさきくん!」
「何?ゆいちゃん」
「私ねSに目覚めちゃったの。だからみさきくんにSMプレイをしてもいい?」
Sってなんだろう?まあいいか。
「うん!わからないけどいいよ」
「ありがとうみさきくん!」
「こちらこそって・・・・・・何でムチを持ってるのゆいちゃん?」
「何でって、そんなの決まってるじゃん」
「え?・・・・・・って痛い痛い!何でムチで叩くの?!やめてよ!」
「ああ、その声が聞きたかったの☆」
「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
僕はあの時、決断を誤った。
だが過去に後悔はしない。そんなことに意味などないんだ。
それ以来、僕はいろいろされた。
あんなことやこんなことを。
もちろん、やめてくれって断った。けど、Sモードに覚醒した結衣ちゃんを止めることは出来なかった。
『女王様に向かって何を言ってるの』って言うんだ。とても同一人物とは思えない。
「それで美咲君は私のどこが好きなの?」
忘れていた。
今はこの状況をどうにかしなければ。
といっても話の内容がわからなければどうにもならない。
ここは微妙に話をそらしていくか。
「僕のことが好きな理由の一つがSMプレイって、結衣ちゃんはどれだけSMプレイが好きなの?」
「うん!ものすごく好きだよ!」
おお、やっぱりこの手の話題には食いついてくるな。
「前から思ってたけど人をムチで叩いたり、手錠や縄で自由を奪うことのどこがいいの?」
「興奮するの。楽しいよ」
楽しい訳がないだろ!考え直せ!
「へー。でもあれだよね。別にする対象が僕じゃなくてもいいってことだよね」
僕は長年の疑問を解き放つ。
別に僕じゃなくてもいいだろ!
どっかのドMな人にやってくれ!
「・・・・・・そんなことないよ」
「え?」
「美咲君だからだよ。SMプレイをするのは」
何でだろう。何か嫌われるとうなことしたっけ?
「美咲君のことが好きだから、SMプレイを美咲君にするの」
嘘つけ!
いろいろおかしいよ結衣ちゃん!
僕のことが好き=SMプレイをするという方程式は成り立たないよどうやっても。
「あ、ごめん結衣ちゃん!今日は約束があるんだ。じゃあまたね」
これ以上ここにいたらSMプレイをされそうなので逃げることにした。
「ちょっと待ってよ美咲君!待たないとムチで叩くよ」
待っていたらムチで叩かれそうだから逃げているんだよ!
二人はその時気づかなかったが二人の会話を聞いているものがいた。
「ふふふふ。どうやら今年の新入生は期待の星がいるようですね」
彼は嬉しかった。自分の同類を見つけたことが。そしてまだまだ成長の余地があることを。
「こんな有料物件はなかなかいない。行動は早い方がいいでしょうね」
自然と笑みがこぼれてくる。それもそうだ。彼は問題を解くのが好きだ。いかにして彼らを招待するのか、どんなおもてなしをするか、どうやって彼らに自分への興味をもたせるのか、問題はその他にもある。
「こんなにおもしろいのはいつ以来でしょうか。ふふふ、笑みが止まりませんね」
彼は携帯を操作して部員の欄に登録している『佐々木奈央』に電話する。
「もしもし。奈央さん。早速新入部員候補を二人見つけましたよ。ええ、彼らはなかなかの逸材です。入部させない手はありません」
彼は会話を終えたのか携帯を切る。そして逃げようとする少年とその少年を追いかける少女に目を向ける。
「楽しみにしてください。佐藤美咲君と神崎結衣さん。我々、数学研究会は全力をもってあなた達を入部させます」
そう言って彼、水無月壮馬は学校に、数学研究会の部室に帰ろうとした。
そう言えば美咲と結衣の名字を出すの今回が初めてだwww