流星群
落ちこぼれの僕。そんな僕は真夜中、今日見られるという流星群を見ようと外に出ていた。隣には愛犬、僕の唯一の友達。たんぼばかりの広大な平地、畦道に座りただボーッと流星が流れるのを待つ。
愛犬が僕を見つめる。「どうしてこんなところでこんなことしてるの?」そんな風に語りかけてくる。僕は流れ星見えるといいね、そう呟いた。愛犬はまだ不思議そうな顔して僕を見つめていた。
夏の真夜中。田舎のここは少し肌寒いくらいの夏の夜だ。冷えた風がなでるように僕を触れて去っていく。愛犬の温もりが妙に頼もしく感じられる。誰もいないからこそ友達がそばにいる安心感は大きかった。まだ流れ星は僕の目には入ってこない。ただただじーっと流れ星を待ち続けるだけだ。灯りもないこの真っ暗な場所の真上では無数の星がいつも見る夜空より輝いて見える、流れ星を見つけてごらんと言わんばかりに。孤独な夜、何もない広大な平地、迫ってきそうなほど大きい山、そんな中での星は異様に綺麗だった。
僕の願い事、それは至って簡単だ。人生に、自分自身に負けたくない、ただそれだけの話だ。でも僕は落ちこぼれ。友達なんて愛犬だけで他にいやしない。男子はある程度話せるくらいで人間関係なんて僕の中では空っぽみたいなもん。でもその空っぽがこれでもかってほど僕に重くのしかかってくる。僕はそんなのに負けたくないのだ。押し潰されたくないのだ。そのために流れ星を待っている。
意地でも負けたくない
意地でも潰されたくない
意地でも僕という人間を他の人間のなかに確立させたい
まだ見えない。もうかなりの時間が経っているように感じる。時間なんて関係ない。来い、流れ星。
僕の前に姿を現してくれ。
そう願い続け、一筋の流れが姿を見せる。
やった、やっと見えた。そう思うと次から次へと流れ星が姿を現す。それは幻想的で、この真っ暗な場所から僕を明るい場所へと導いてくれているようにさえ感じられる。天は僕に味方してくれている。
僕は人生に負けるわけにはいかない