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まどかチャンと雪だるま

作者: 夕風清涼

『ママ~雪だよ~』


まどかチャンは窓から空から降ってくる雪をながめていました。


『積もったらママと雪だるまを作ろうか?』


『雪だるま??』


まどかチャンは雪だるまを知りませんでした。


黒い雲からたくさんまどかチャンのお家に雪が降り注ぎ、だんだんお家の周りが雪景色になっていきました。


まどかチャンは暖かい部屋の窓越しからチラチラ降り続く雪を見ながらコクリコクリと眠ってしまいました。


『まどかチャン、ほら起きて窓を見てごらん~』


まどかチャンはゆっくり窓を覗いてみました。


『わぁ~!!‥ママすごいね!!』


まどかチャンの目には真っ白くなったお庭が見えました。


まどかチャンが目覚めた頃に、ちょうど雪も止んでいました。


『じゃ、まどか!ママと雪だるま作ろうか?』


『うん!』


まどかチャンとママはお庭に出ました。


『ママ!サクサクしてるよ~』


長靴を履いたまどかチャンは雪を踏みしめました。



『じゃ~、まどか!雪でオニギリ作ってみましょ~』


ママが雪を集めて大きなオニギリを作ってくれました。


まどかチャンも手袋を着けてママの真似をして小さいオニギリを作りました。


『よいしょ‥よいしょ‥ママこれくらい?』


まどかチャンは可愛いオニギリをママに見せました。


『良くできてるわよ、そしたらオニギリを下に落としてみて~』


まどかチャンとママは雪オニギリを下に落としました。


『さぁ~まどか、ここからこのオニギリを転がしてみよっか?』


ママはコロコロと雪オニギリを転がしていきました。


コロコロ、コロコロ、コロコロ


『わぁ~!ママ、オニギリが大きくなってきたね!』


まどかチャンの目にはまるで魔法がかかっているかのように見えました。


『まどかチャンもやってみて~』


ママはまどかチャンの小さな手を包むように一緒に雪オニギリを転がしてくれました。


『よいしょ、よいしょ…』


コロコロ、コロコロ、コロコロ


ちょうどまどかチャンの頭の大きさくらいに雪オニギリはなりました。


『ママ、オニギリおっきくなったよ~』


『よ~し、じゃママのオニギリに、まどかチャンのオニギリをかたぐるま!』


ママの作った大きな雪オニギリにまどかチャンのオニギリが上に乗りました。


『わぁ~!また雪オニギリが大きくなった~』


『それじゃ、次は顔を作ろうか~?』


ママは植木の近くで細い木の枝と黒い小石を拾ってきました。


『さぁ~!お顔ができるわよ~』


ママはまどかチャンが作った小さな雪オニギリに木の枝と小石を入れていきました。


『この枝は、眉毛とお鼻…そして石は目だよ~…ほらっ!まどか!見て』


ママは雪オニギリの顔をまどかチャンに見せました。


『わっ!お顔が出来てる~』


まどかチャンは嬉しくて何度も雪オニギリのお腹をさわりました。


『これが雪だるまよ~』


『雪だるま~…』


まどかチャンは雪だるまがずっと笑っているように見えました。


『ママ、パパにも見せたいね~』


『そうね~…このまま寒かったらパパも見れるかな…』


『???』


まどかチャンは雪だるまをパパに見せたくて、ずっとパパが帰って来るのを待っていました。


(パパまだかな~)


まどかチャンが夕ご飯を食べ終えた頃にパパが帰って来ました。


『ただいま~』


まどかチャンは玄関にパパを出迎えました。


『パパ!こっち来て~!』


まどかチャンは早く雪だるまを見せたくてパパの手を引いて庭に飛び出しました。


『パパ!これママとまどかが作ったの!‥あれ?‥』


さっきママと作った時よりも雪だるまは小さくなっていました。


雪だるまの顔の部分の枝が少し下がり、まるで悲しそうな顔になっていました。


『ちょっと溶けたんだね‥でもまどか頑張って作ったんだね、偉いぞ~まどか‥』


パパは悲しそうなまどかチャンをなぐさめました。


『雪だるま‥泣いてるよ‥』


まどかチャンは溶けていく雪だるまが可哀相になって泣き出してしまいました。


『まどかが雪だるまを可哀相だと思ってくれるだけで、雪だるまは喜んでくれてるよ‥』


『よろこんでない!雪だるま泣いてるもん~!』


まどかチャンの泣き声でママも庭にやって来ました。


『ママ!雪だるま~…泣いてるよ~…』


まどかチャンはママにしがみついて泣きました。


『まどかと雪だるまはお友達なのね‥また雪が降ったら、必ず雪だるまは会いに来てくれるよ‥』


『ほんと?…』


『うん!本当よ‥まどかが、これから先もお友達を大切に思う気持ちを持っていたら、いつでも雪が積もれば雪だるまが会いに来てくれるわよ~』


『お友達??』


『そうよ、ミキちゃんやメグちゃん、みんなまどかと仲良しでしょ?それがお友達‥』


まどかチャンはいつも遊んでいたミキちゃんとメグちゃんを思い出していました。


『まどかも、雪だるまを可哀相と思った優しい気持ちを忘れないでね、ミキちゃんやメグちゃんにもまどかは優しくしてあげてね…きっと雪だるまも喜んでくれるから‥ねっ?』


『‥‥‥』


まどかチャンはパパに抱っこされて家の中に入りました。


泣き疲れたまどかチャンは、そのまま溶けて消えていく雪だるまを悲しく思いながら眠ってしまいました。


暖かい布団の中で、まどかチャンは夢を見ました‥大好きなお友達と雪だるまを作って、みんなで雪だるまと遊ぶ夢を‥‥



ゆっくりと夜明けと共にまどかチャンも目が覚めていきました。


目が覚めたまどかチャンはママが居るキッチンにパジャマ姿でやって来ました。


『あら、おはよう!‥まどか』


もうキッチンにはママだけしか居なく、パパはすでにお仕事に出掛けていました。


(あっ!雪だるま!…)


まどかチャンは雪だるまを思い出してパジャマ姿のままお庭に駆け出しました。


『あっ!まどか!どこ行くの!寒いのに!…』


ママはまどかチャンを追いかけて庭に出ました。


ママは立ち尽くしているまどかチャンにゆっくりと近寄りました。


『またお友達、会いに来てくれたね…まどか…』


まどかチャンとママの前には少し泥が付いて汚れた雪だるまが笑っていました。


(ありがとう…パパ…)


ママは優しくまどかチャンを後ろから抱きしめてあげました。

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