復讐者
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西暦2069年・・・
地球はある進歩を迎えるとともに、ある厄災を持ち込むことになる。
時空操作が可能となったことで、時空の境界が歪み、そして世界が混じりあった。
結果的には、人間界、魔界、天界がまじりあうこととなる。
その後しばらく混乱に包まれることとなるが、
その世界を彼らは、人間地、魔地、天地と三分割することにより、しばらくは安定した状態をむかえることとなった。
しかし、それは仮の姿であり、事実はお互いがお互いを見守るいわゆる冷戦状態となっていた。
しかし、2072年、魔界に住んでいた魔族を忌み嫌う天族は突如として総攻撃を開始した。
魔族はこれに対し大魔法陣を展開。しかし、初撃において、魔族は先陣が壊滅。魔法陣の威力は発揮されることなく次々と魔族はやられていった。
不利な状況をさっし、魔族は人間へと助けを求めることとなる。
しかし、その返答もなく、魔族は壊滅した。
生き残ったものはそれこそ数少なかったが、その中でも、優秀なもの以外は切り捨て、のこった才あるものはことごとく天族の奴隷となっていった。
天族はそのまま攻撃の矛先を変え人間と交戦。しかし、魔族との戦いの時の
時間は人間にとって、天族との対決に備えるのに十分の力となった。
天族は余裕の表情でむかえた人間との戦いであったが、
思いもよらず苦戦し、戦いは泥沼化した。
こうして、第二次冷戦とはいわないが、ここ何年もの間、小規模な衝突だけしか起こっておらず、
互いが次なる大きな戦に備えていた。
「白―、遅刻しちゃうよー、早く起きて!」
「ああ、わかってる。もう起きてるから大丈夫だ」
俺の名前は盛堂白。ここ、 栖鳳学園にかよう高等部二年だ。
栖鳳学園とは、人間軍が組織し、戦場へ、または指揮官としてエリートを育てる7校の一つである。ここは、日本人が代表を務めていることで、日本文化系の学校であるが、この7校はどれも国際学校である。
ここの学園の特徴は全寮制、そしてエリート階級制度。
これにより一年一回に行われる総合テストでクラスが振り分けられる。
「というか、お前、ここは男子寮なんだが」
「あー、また名前でよんでくれないし」
「人の話くらい聞けよ」
「白がなまえでよんでくれたらねー」
「・・・忘れた」
「・・今の間は本気だ。 流石に傷つくんだけどな白、
もう何回目?私の名前忘れたのは」
「知らん」
「即答・・なんだ。 まあ、いっかぁー。
私は中堀空。 空ってよんでいいから」
そう、こいつは空っていうらしい。何故か俺につきまとってくる。
なぜだかは不明・・・正直やっかいものだ。
「お前、寮長につきだすぞ」
「えー、ひどいよ白。せっかく迎えに来てあげたのに」
「頼んだ覚えはないし、俺は遅刻したことはない」
準備を終えた俺はクラスに向かうために寮をでた。
そとの空気はやはり、汚い。
「まあ、いいじゃない。武闘派クラスと軍師クラスは結構近いんだから」
そう、総合テストにはいくつもの種目があってその中から、色々なクラスにわけられることとなってる。俺はそのテストで、軍師クラスに振り分けられた。
話をきいてるとどうやらこいつは武闘派クラスに振り分けられたらしい。
また、クラス内でも順位がつけられ、それにより校舎が決まってくる。
校舎はα、β、γ、の三つがある。
俺は軍師クラスのαにいるからこいつも武闘派のαにいるんだろう。
「あれー今、白。私が校舎を間違えてるとか思ったでしょ」
なんなんだ、こいつは。さっきから頻繁に俺の頬をつつこうとしてくる。
はっきりいって、迷惑意外のなんでもない。
「俺に触るな、それと、お前のクラスなんかどうだっていい。」
「まーまー、そう言わずにさ、 あっ、クリスだっ!
おはよー、クリス!」
こいつ、また人に声かけやがって・・・
俺がいないときにでもやってくれ
「ああ、空ではないか、おはよう」
「ねー、聞いてよ。クリスー。白が全然話を聞いてくれないー」
「白?だれのことだ?」
「ああ、そっかー、クリスは会うのが初めてだよね。
この人が白。 盛堂白。軍師αクラスだよ」
「ほお、それはなかなかではではないか。
私はクリティーン・アイザー。急襲クラスだ。皆はクリスと呼んでいる。
よろしく」
そうやって、彼女は微笑みながら手を差し出す。
急襲クラス。この学校にもひとつしかない武闘派αの上をいく。
その名は急襲と物騒な名ではあるが、頭の方でも軍師クラスαの上をいく。
この学校でも特に敬意を皆からはらわれている存在。
いわゆるかなりのエリート集団。クラスは10人と少人数制。
しかし、その個人個人はどんな戦闘においても抜群な成果を発揮する。
いわゆる対天族戦における最後の壁になりうる存在である。
「ああ」
彼女は握手を求めてきたが俺は軽い返事とともにそれを無視する。
俺にとっては、どうでもいいことだ、そんなこと。
「なんだ、お前は、失礼だとか思わないのか?」
お前、何様のつもりだよ・・
「別に俺はお前と馴れ合うつもりはない」
「・・・っ、いきなり、だな。
そう、か・・」
そういって、クリスとよばれた奴は先に歩いて行った。
ったく、やはり俺にはよくわからない・・
「もう、白ってば、そんなことだと、友達いなくなっちゃうよ。
ちょっとまってー、クリスー」
少し態度を崩したクリスを気にかけたのか空は走って彼女を追いかけていった。
~空視点~
やっぱり、白は今日も冷たい。なんであんなに、冷たい態度をとるんだろう?
「クリスー、ちょっとまってってばー。」
はぁはぁ、と息を切らしながら私はクリスを追いかけた。
「空、まったく、あいつは何なんだ。 あの態度はないんじゃないか。」
「うん、そうなんだけど。でも、本当は・・」
「本当は、なんだ?」
「ううん、なんでもないっ、とにかく許してあげて!」
「まあ、空がそこまで言うのなら」
本当は・・・彼は優しくていい人なんだって私はそういいたかった。
私は知ってるよ、白。
あなたが誰も世話をしないで枯れそうだった花をひとり世話をしていたのを。
迷い猫に餌を与えて、飼い主が見つかるまで白が必死だったこと。
今はもう昔のようにみんなが遊ぶことのない海を、どこか優しそうな目で見ていた白を。
でも、そんなことを私の口から言ってしまうと、
白の存在が勝手に決められてしまうようで、
貶めてしまうかのようで嫌だった。
でも本当は、
私だけが彼を見ていたかったのかもしれない。
私はちらっと、白がいた方に目をむける、
しかしもうそこには彼の姿はなかった。
~白視点~
また、嫌な夢をみた。
街が燃えている・・・
「父さん、母さん、どうしちゃったの?」
「白、安心しなさい、大丈夫。きっとお父さんとお母さんが守って
あげるから」
「うん」
当時の俺は5歳。まだ、余りにも若すぎた・・いや、何も知らなかった。
そして、その日のことは俺の世界を一変させた。
そう、その日は俺たちの存在が葬られた日だった。
そう、俺は・・魔族だ。
「天族が攻めてきたぞー!!、」
そんな大声とともに街には悲鳴がこだまし、
俺の街は炎に包まれた。
俺たちは何もすることができなかった・・それは余りにも突然な出来事だったからである。
「父さん、怖いよ・・」
当時の俺はただ父の後ろに隠れていることしかできなかった。
「大丈夫だ、白。なんとかなる」
俺はいまでも覚えている。そう言ってくれた父の手は震えていたことを。
“ドンッ”
と大きな扉を開ける音がする。
「おい、いたぞー、ここに魔族の生き残りが!」
「皆殺しだー」
そんな言葉とともに天族は俺たちに迫ってくる。
あのときのやつらの表情を俺はいまでも覚えている。
おぞましく、化け物のような顔をしていた。まるで、本当に殺しを
楽しんでいるかのような・・そんな感じであった。
「白、下がっていなさい」
俺は父の背中に隠れさせられる。
そのときの父の背中は今までにないくらい大きく見えたものだった。
しかし、同時に俺が余りにもちっぽけな存在に思えてしょうがなかった。
それでも、完全武装をしている相手とそうでない相手では結果は見えていた。
“ブスっ”
そんな鈍い音と共に俺の前に血が飛んでいった。
「ごめんなさい、白」
悲しそうに、そう倒れていく母さん。
「すまんな、白、・・最後に約束してくれ。
絶対に・・・・な。」
俺は父さんがさいごに言った言葉がなんだったかよくは覚えていない。
「父さん・・・?母さん?・・・ねえ、おき、てよ・」
とにかく俺は震えていた。
その時の俺は死がなんだということは知らなかった。
怖い・・ただ一言だった。
「かわいそーになー、でも、大丈夫。いまから優しいお兄さん達が
すぐに坊やをお父さんと、お母さんのもとにいかせてあげるからねー」
そう言って近づいてくる賊。
怖い・・怖い・・・手が震える・・
止めて、やめて、
お願いだから・・・
「どうちたのかなー、」
そうやって、あの残酷までなおぞましい面を浮かべながら俺に近づいてくる。
「父さん・・母さん・・」
いくら呼びかけても返事はない。
そして、その時初めて気づいた。今まで俺の手を握っていた父さんの手が、
そして母さんの手が、冷たくなって動かないことに。
俺は知った。 もう、あんなふうに笑って話せないことに・・
楽しかった日常はもう戻ってこないことに。
「う、うわぁぁぁぁああ!!」
俺はその父さんたちのことを思ってからしばらくは記憶がない。
気がついたときには俺はもう崩壊した自分の家のがれきに埋まっていた。
外に出てももう、誰も居なかった・・
いや、いたが、誰も動くことはなかった・・・
くそっ、そんな何とも言えないいらだちとともに俺は目を覚ます。
俺は、あの後なんとか逃げ延び、ここ人間界で落ち着いている。
「白、遅刻しちゃうよ~」
そんな声と共にいつもの奴が俺の夢を邪魔しにくる。
いや、最近はやつのおかげで、俺はあんまり、過去の夢をみなくなっている。
というか、こいつはなぜ俺につきまとってくるのかわからない。
小学、中学と俺は誰とも友達をつくらずただひとりで暮らしてきた。
そのほうが楽だからだ。
仲間をつくるなんて、ただの弱さのいいわけだし、
それに・・・
そして、高校。しかし、ここでは違った。入って3ヶ月ほど経った頃、
こいつは急に俺に接近し始めた。
俺は最初、こいつの存在を疑っていたが、どうやら俺の思惑と合致するような人物ではないらしい。つまり、俺を少なくとも敵対対象としてはみていない、ということだ。
でも、俺にとってはそんなことどうだっていい。
俺は、俺は絶対に復讐をしてやる。
思い知らせてやる。
あの、天族に。
ただそのことのために今まで生きてきた。
そして、人間。
おれはこいつらが憎い。
俺たちを、俺たちの助けを無視したこいつらが憎い。
まっていろよ、天族。
そしてせいぜい駒になってもらうぞ、人間。
俺がこの世界を叩き壊す。