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信じる者は救われるのです!

最終話です! (^^)

隣村が見渡せる小高い丘に来た私たち。


普段あまりメグちゃんちから外に出ることがないので、とても新鮮です。

大きな岩があったので、そこにショウくんと二人腰かけました。眼下に隣村を見渡していると、森から吹き抜けてくる爽やかな風が、私の髪を乱していきます。乱れた髪は光に透け、金色のように見えました。

私はそれを一筋指に絡めて、


「メグちゃんがひいひいおばあちゃんなんて、びっくりしたわ」


それを弄びながら言いました。年齢のことは地雷のメグちゃんが私のひいひいおばあちゃんなんて! でも、あまりに若すぎてピンときませんが。

メグちゃん曰く、『無限の時を生きるのに、最善の状態で時が止まる』らしいのです。


「確かに見えねーよな。そもそも子孫がいるように見えない」

「うんうん。それにメグちゃんはフランス人だったんだよ。ひいひいおばあちゃんがおフランスの人だったから、私の色素が薄いんだって」


私は日本人というかアジア人の象牙色の肌と言うよりはむしろヨーロッパ人に見られるような肌色なのです。髪も瞳も明るめの栗色。小さい頃からなんでかなぁと思っていたのですが、ある時お母さんに聞いたら『お婆ちゃまのお母さんがフランスの人だったのよ』と教えてくれたのです。でも残念なことに、身長はしっかりアジア人な私ですけど☆


「へえ、そうなんだ。綺麗な栗色だと思った」

「ありがと」


「……」

「……」


あ、会話が途切れてしまいました。

でも嫌な沈黙ではありません。二人で穏やかに風に吹かれながら隣町を眺めています。ゆっくりと時が過ぎていく気がします。


「……これから、どうする?」


しばらく静かに風景を眺めていたのですが、沈黙を破ったのはショウくんです。視線は遠くのままで、ポツリ、と。


「そうだね」


私も、遠くを見たまま、視線を動かさないままに答えました。

少し時間を頂戴と言って、考える時間をもらいました。いろいろなことを加味して、考えましたよ? 私なりに。


お父さんとお母さんと一緒に暮らすのか。

一人で村で暮らすのか。

――今まで通りに暮らすのか。


私は目を閉じ、すぅっと深呼吸し、気持ちを落ち着かせました。

――そして。


「私、もう二十歳だからね~。そろそろ独り立ちしてもいいと思ってるんだ~。日本ではもう成人だよ? いつまでも保護者に甘えてるのっておかしいよね?」


努めて、いつも通りに言いました。


「じゃあ?」

「一応、独立しようかなって」

「メグさんち、出て行くのか?」

「うん。でも、メグちゃんに嫌がられない限り今まで通りの仕事はしたいなぁって思ってるから、メグちゃんちの近くに家建てよっかなぁって」


リサの独立宣言です。

ショウくんはいつの間にか私をしっかりと見つめていました。びっくりして目を見張っています。ふふ、美形さんは何しても様になりますね☆


「えっ? でもさ、ほら、女の子の一人暮らしは危ないよ? おかしなトリッパーとかいるしさ、たまに変質者だっているんだぞ? いくら平和な国だっても、魔獣出たらどうすんのさ? それだけじゃないぞ! 力仕事はどうすんだよ? 水道捻ったら水が出てくるわけじゃねーし、スイッチ押したら電気が点くわけでもない。現代日本じゃないんだから不便だぞ?」


驚きに固まっていたのは束の間、ハッと我に返ったショウくんが色々と言い募ってきました。そんなに切羽詰らなくてもいいのに、と思うと微笑ましく思いました。


「あはは……!! ショウくん、そんなに必死にならなくったって!」


プッと吹きだしながら私が言うと、


「笑い事じゃなくて! オレやメグさんのいねーところでリサになんかあったらどーすんだよ!」


ショウくんはグイッと私の二の腕を掴むとゆっさゆっさと揺すぶりました。衝撃で頭がかっくんかっくんしています。いや、酔いますからやめてください。


「ちょ、ほら、落ち着いて」

「これのどこが落ち着いてられんだ」


「いやいやいやいや。だって、ほら、ショウくんは一緒についてきてくれないの? ショウくんは私を護ってくれるんでしょ?」


言っちゃいましたよ、私。殺し文句ですよねー。

ついでににこーっと笑いかけます。あ、いつもの営業スマイルじゃないですよ? ちゃんと心を込めて。


「!!」


あ、ショウくんがまた固まってしまいました。どうやらこの殺し文句はメドゥーサ並みの攻撃力があった模様です。ショウくん限定で。しかし今日はよく固まりますね!


「ショウくん?」


おーい、と言いながら見開かれたまま固まっている目の前で手をひらひらさせてみます。

またどこかへトリップしてきたようなショウくんが、ハッとしました。


「リリリリリリ、リサっ!! マジか?!」

「うん、マジだよー」


摑まれたままだった二の腕を引き寄せられて、かなり接近しました。見上げた先にあるショウくんの顔は、今度は喜色満面です。今日は百面相ですねー。


「もちろん一緒に居るに決まってんだろ!」

「だよね。ショウくんならそう言ってくれると思ったよ」

「そっか」


ははは、と笑いあう私たちは完全にばかっぽーですね☆


「リサのご両親の村にも近くて、メグさんちにも近いところに家を建てような」

「うん」


にっこりと笑いあう私たち。

もはやこの笑顔を疑うことはありません。信じていればいつかきっと巡り会うことができると判りましたからね!


「さ、帰ろっか。そろそろメグさんも戻ってるだろ」

「そうだね。またトリッパー様が来てても仕事が滞っちゃうしね」


二人立ち上がり、帰ることにしました。

どちらからともなく手を繋いで――




そして、


「はい、いらっしゃいませ~。えーと、ご自分のお名前はわかりますか?」


いつもの日常に戻っている私たちです。

長々とお付き合いありがとうございました!(^^)

たくさんの方に読んでいただけたおかげで、最後まで書くことができました!

本当にありがとうございました!


また続きが思いついたら番外編書こうかなと思います。

その時はまたお付き合いくださいませ! m( _ _ )m


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