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再会

ベガとアルタイル姉弟が来てからしばらく後。


「あの……」


入り口扉をおずおずと開ける人がいました。村人さんではありません。ですので、私はいつもの営業スマイルを貼り付けました。


「どうぞ~。えーと、ご自分のお名前はわかりますか?」

「あ……名前……? ごめんなさい、わかりません」

「そうですかー」


困ったように頬に手を当てるその人は、ぱっと見30~40歳くらいでししょうか、楚々とした美人さんです。

名前が解らないということは転生さんですね。


「少々お待ちくださいね。メグちゃーん、転生様が来ましたよ~」


女の人に声をかけてから、私は二階にいるメグちゃんに声をかけました。




一階奥のダイニングスペースにて、メグちゃん・ショウくん・女の人・私で事情聴収タイムです。久しぶりに平和なトリッパー様なので、お茶やお菓子を出してほっこりと話を聞くことにしました。


「覚えてることはある?」


メグちゃんが問いかけました。

女の人は、しばらく目を伏せて考え込んでいました。みんなで成り行きを見守っていると、


「名前は覚えていないのですが……生き別れの子供たちがいたことを覚えています。上が女の子で、下が男の子でした。主人と死に別れてから、親戚が手のひらを返したように冷たくなり、揚句には主人の残してくれた財産総てを乗っ取られてしまったのです。私たち母子は辛くも逃げたのですが、逃げる道中でまた悪い人にだまされて離れ離れにされてしまったのです。そこからはあの子たちの行方は杳としてわかりませんでした。私はというと農家の下仕えに売られ、そこできつい労働を強いられていました。そしてそのまま儚くなってしまったのです」


女の人がポツリポツリと答えました。

うう、また聞くも涙、語るも涙の前世を送られたのですねぇ。また私は涙がちょちょぎれてしまい、ショウくんのお世話になっています。

あれ? でも、生き別れの子供ですか。姉弟ですか。それって最近どこかで聞いた話ですよねー。

あれれと思い、女の人からメグちゃんに視線をやると、メグちゃんも同じことを思ったようです。ばっちり目が合いました。


「あのね、多分その子たちに会えると思うんだけど、会ったらその子たちが生き別れの子供たちだって判るかしら?」


私から視線を外して、しっかりと女の人の眼を見つめながら、メグちゃんは言います。

ハッとして顔を上げる女の人。


「ええ、多分わかる気がします」


先程とは打って変わり、はっきりと答えました。メグちゃんの視線をしっかりと受け止め、力強く頷いています。


「そう。じゃあ、ショウ、リサ、お留守番お願いね。ちょっとベガとアルタイルを呼んでくるわ」

「はーい」

「ショウだと一度に大勢連れてこれないからね」

「ほっといて下さい!」

「ふふふ。じゃねー」


そう。ショウくん、基本的には高スペックなんだけど、ビミョーなところでスペックが低いことがあるんですよねー。転移は自分を含めて2名までとか、テレパシーできないとか。

ま、他が高いからいいのでしょうか。『無』な私と違ってね☆

ショウくんをからかってから、メグちゃんは転移魔法を展開しました。




そう時間も経たないうちに、メグちゃんはベガとアルタイルとこちらの父親を連れて帰ってきました。

姉弟は、女の人を見た刹那、


「「お母さん!!」」


驚きで固まった後、我先にと女の人のところに走ってきました。女の人も、同じです。目を見張って、


「まあ、あなたたち!!」


嬉しそうに破顔しました。駆け寄ってくる姉弟をひしと抱き留めました。

あ~、感動の親子の再会ですよ! また泣けてきました。最近涙腺が緩いのかしら。涙もろくなったなんて、お歳かしら? いやいや、まだ20歳です!! ぴちぴちです!! 

とりあえず、ショウくんの腕の中に納まっておきましょう。ここなら安心して泣けます。


「すごい強い絆だなぁ。一発で分かり合えてたよ」

「えぐっ……ほんとね……ぐすっ……美しき親子愛よ!」


感心しながら、母子の抱擁を見守るショウくんと私でした。




「さて。これからどうするか、よ」


ひとしきり感動の再会を終えたところで、メグちゃんが仕切りました。


「一つ目、名前をどうするか。二つ目、どこに住むか」


指を立て、羅列します。


「そうねぇ。まずは名前よね。子供たちにとっては『お母さん』でもいいけど、他の人にとっては不便だものね」


私がコクコク肯きながら同意しました。


「だね。ベガちゃんとアルタイルくんはお母さんの名前覚えてるの?」

「いいえ……」

「ごめんなさい。覚えてません」


ショウくんの優しい問いかけに、アルタイルもベガもしゅんとしてしまいました。ああ、そこまで項垂れなくてもいいのよ? 誰も責めてないんだから。


「そっか。じゃあ、アンドロメダっていうのはどお?」


にっこり微笑んで、メグちゃんが言いました。私の貧弱な現代の記憶によれば、古代エチオピアの王女ですね。海獣クジラの生贄にされかかったところでペルセウスに助けられたという。


「ええ、それで結構です。素敵な名前をありがとうございます」


微笑むアンドロメダさんは、はかなげでとっても美しいです!


今日もありがとうございました(^^)

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