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絶賛進行中

今の私の状況は。


見えない結界バリアに囲まれて、フォーマルハルトさんの後ろに漂っています。

ぷかぷか浮いてるんですね、これが。その中で体育座りで座ってるんですが、囲まれてるからって息苦しいとかはないんですよ。特に問題ないんですね。ただ、誰も私に触れることはできません。術をかけているフォーマルハルトさん以外は。

ショウくんとフォーマルハルトさんの魔力はどうやら互角みたいです。だからショウくんにもこの結界は破れないみたいです。

そのフォーマルハルトさんは、王様から賜った由緒正しき剣(王様曰く)とこれまた由緒正しき盾(前述)だけの軽装備で、魔王がいるという場所を目指して絶賛行進中です。

大陸シリウスの北東。

いわゆる『鬼門』てやつですね。ベタですみません。その方向から魔物たちはやってくるそうです。


『甲冑は要らんのか?』


との王様の言葉にも、フォーマルハルトさんは、


『そんなもの、重くて無用だ。同じ重いのならば食料などがいい』


と一蹴してしまいました。

元々軍人さんだったようで、甲冑なんぞ着たら動きが鈍るからだそうです。

そして、ぷかぷか漂いながら彼の後に引かれていく私の横にピタリとショウくん。ショウくんは、『お前のカタガキは魔法使いだ』と決められて、それらしい衣装、黒いローブ(もちろんフード付き☆)を纏わされています。元からの黒目黒髪にしっくりきてて、私は素敵さ5割増しだと思うんですけどね、


『重いし暑いから嫌だ』


と最初ゴネてました。


『ええ? でもショウくん、似合ってるよ! 何ていうの? 神秘的っていうか、そんな感じ!!』

『え? そうか? ……なら、いいか』


へらっと笑って頭をポリポリとかいて、何とか着ることを承諾してくれました。

なぜ私がローブを着ることをオススメしたかというと。


実はこのローブ。


防御の呪符が縫いこめられているらしいのです。


このローブを持ってきた侍従の方が言ってました。でもショウくんが着ることを拒んだので、オロオロしながら私に耳打ちしてきたのですよ。

まあ、ショウくんの実力まりょくならこんな防御のローブなんて要らないですけどね、でも、私としては、私のせいで魔王退治に駆り出されたショウくんの身の安全を確保したいわけですよ。念には念を入れてね。ショウくんに傷一つでも付くのは嫌です。

人質とって脅迫まがいをやらかした勇者サマはどうでもいいですけど。


だから敢えて私は、ショウくんが着てくれるだろう言葉を選んだのです。

案の定着てくれました。


そして勇者サマ・魔法使い・人質という、何とも奇妙なパーティーで魔王退治に出発したのでした。




「来たぞ」

「ああ、わかってるって」

「あわわわわ!!」


城下町を抜け、森に入っていくと、所々で魔獣さんご一行と出くわします。多いです。しょっちゅうですよ。魔王様が侵略してきているというのは本当のようです。

今目の前に現れたのは、姿かたちは狼の様なんですが、目が3つもあるんですよ。尻尾も3本。そして何よりサイズがでかい。体長3mはありますかね? まあ、目測なので確かではありませんが。

そんなのに取り囲まれてしまいました。え~、何匹いるんでしょう? わかりません。とりあえずたくさんはたくさんです。

みなさん、『グルルルルル……』と低いうなり声を上げて、臨戦態勢です。

そんな魔獣に囲まれていても、勇者サマとショウくんは全然余裕です。冷静そのものです。

私だけが一人ビビってアワアワ言ってます。


「大丈夫。すぐ終わるから」


ビビる私にショウくんは優しく言うと、勇者サマが張っている結界の上からさらに強固な結界を張ってくれます。これならほぼ私に危害は加わらないからです。結界を張ったうえで目くらましもかけて敵から隠してくれます。うう、ショウくん、ありがとう……


「気を付けてね?」

「ああ、もちろん」


私を安心させるかのようににこっと笑うと、次の刹那、それを引き締め、魔物たちに向かいます。

ふ~っと息を吐き、手先に意識を集中しています。


そこから白い縄のようなものが出てきて、ショウくんと対峙している魔獣たちを縛りました。

それを勢いよく宙に持ち上げたかと思うと、ブンブンと振り回し、そして、


「どりゃっ♪」


と、勢いよく勇者サマの方に投げつけました。

あれ? ショウくん、なんだか楽しそうに笑みを浮かべてますよ? 勇者サマの方からは死角になって見えてませんが。


「なっ!?」


突然横手から飛んできた魔物たちに、勇者サマは驚きはしたもののすぐに攻撃魔法を繰り出して魔獣を消滅させてしまいました。

その勢いのままショウくんを睨みつけますが、ショウくんはどこ吹く風。まったく気にしていません。


「魔法使い! お前わざとこっちに飛ばしたな!」

「はいぃ? 何のことだよ? たまたまそっちに飛んでいっただけだろうが」

「……チッ」


そう言って言い争っている間にも魔獣はじりじりとその距離を詰めてきます。

今は仲間内で争っている場合じゃないと判断した二人は、ふいっと顔を逸らすと、お互い背を向けあい魔獣退治に集中することにした模様です。




「っ……はぁ、はぁ……」


肩で息をしながら地面に座っているのは勇者サマです。結構お疲れモードのようです。


それもそのはず。


ショウくんは戦っていると見せかけて、全部勇者サマの方に魔獣を投げていたのですから。

つまり、魔獣を全部退治したのは勇者サマ一人と言う訳です。

まあ、ざこキャラなので一人でも十分なのですが、いかんせん数が多かったみたいです。それでさすがの軍人勇者サマもお疲れになったようですね。


「ほら、勇者サマ♪ 回復魔法かけてやるよー♪」

「くっ……」


ショウくんが勇者サマの頭に手を翳し、回復の魔法をかけています。

基本、ショウくんの魔法は詠唱とかしません。ショウくんの頭の中のイメージで発動するみたいです。メグちゃんもそんな感じです。

ショウくんから回復魔法をかけてもらうのが屈辱のような表情の勇者サマ。ま、彼に言わしめると『誰のせいでこんなに疲れたと思ってんだ!!』でしょうが。


回復するや否や、


「魔法使い!! どういうつもりだ!!」

「何? オレ一所懸命戦ったよ~? 疲れたよ~?」

「私にすべて押し付けていただろう!」

「まさか! ソンナワケナイデショ」

「そのカタコトが証拠だ!!」


ショウくんに食って掛かる勇者サマですが、ショウくん、ばっくれるばっくれる。そしておもむろにニヤリ笑いを浮かべると、


「ここでアンタとオレが喧嘩してもいいけど、一人じゃさすがに魔王ンとこに行くのは難しいだろ。ましてや封印なんてできねーよ。今ここで戦っても、互角の力を持ったオレたちだから、自分たちの体力を擦り減らすだけで、向こうにとっちゃ好都合なだけだぜ?」


そう言い放ちました。なんという説得力でしょう! 悔しそうにその言葉を聞いていた勇者サマでいたが、悔しいながらもその言葉に同意したのか、


「くそっ!!」


とだけ言い捨てて、


「進むぞ」


そう言って歩き出したのでした。


今日もありがとうございました(^^)


お気に入り、じわじわ増えていてうれしいです(*^-^*)ありがとうございます!

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