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兎にも角にも王都!3

感想がないのでこのままいきたいと思います


その後、こっそり男のことを報告し、メンバーは解散した

【アサルト】と【グロウ】は、この経験をきちんと受け止め、次に生かすことができそうだ。彼らが違うチーム名を名乗る日は近いと思う。

【ハイエナ】は、今回の一件で武器を失った為かなり散財した上、メンバー依頼を受けることをしばらく、禁止された。ギルド員に文句を言っていたが、ギルドマスターが出てきた瞬間小さくなった。以降彼らは粛々と安い依頼をこなしているという話だ。

ギルドマスターに伝えたことを自分のチームにも伝えたら、マイカとリリアがついてくる事になった。ニーナは先約があり、来ることができなかった。

翌日、ギルドマスターとリリアとマイカと私の四人でギルドマスターの部屋にいた

昨日の森の一件をもう一度、話し、その笛を見せた。

件の笛は、私の手のひらサイズの十字架のような笛だ。

先日、感じたような禍々しい感じはしない。それどころか、優しい月明かりのような感じさえしている。

「…魔笛ハーメルンか。なんというものを持ってきてくれたんじゃ」

-年をとった老人-ギルドマスターがポツリと漏らした。

「魔笛ハーメルン…それは、まずいですね」

その笛を見ていたマイカも同じように呟く。

私にはちんぷんかんぷんである。

リリアも同じようで、

「なんなんですか、その魔笛ハーメルンって」と聞いた。

二人は私達を見ながら、ひと呼吸入れて話し始めた。

「一千年前の魔王の話は知っているな。…ならいい、その時代、戦力はなくなりこそすれ、すぐに増えるわけじゃなかったというのもわかるな」

こくんと頷く。魔笛が作られた背景もわかり始めてきた。

話は続く、いやな汗が伝う。暑いわけではないが、とても嫌な汗がこれから先言わんとしていることを現すかのように、

「どこか別な場所から、即戦力になりそうなのを連れてこなくちゃならなくなっていたんだ。目に付いたのが魔獣だ。普通に人を鍛えると最低でも一年はまともに戦うことすら厳しい。だが、魔獣ならひと月しつければ、十分戦力になる。使わない手はないだろう。そして、追い詰められた純血達は、混血を奴隷…いや、それ以下の扱いでこの魔笛の原型を作らせたんだ。そのあとポイ捨て同然で捨てられたらしい。そして純血たちが、完成させたんだ。完成とは名ばかりの量産品らしいが、結果自体は上々だったそうだ、防衛としては、な。だが、やがてこれは防衛以外の役割で使われるようになった。その使われ方によってこれを魔笛と呼ばれる所以になったわけじゃが、その時期は」

マイカの顔が少し曇る。多分その時期に、実際に見たのだろう。使われているところを、そして使われたことで何が起きたのかを、

『その時期は、戦後復興が終わったあと。同胞にいえ、純血同士の争いに使われたんですね』

ギルドマスターとリリアがこちらを向く、マイカは軽く首を横に振り、

「違うわ。当たってるけど違う。実際には、混血の撲滅にも使われたのよ。こちらが本命だったかもしれないわ。勇者が止めなければ、もっと多くの命が失われていたし、リスタのような街も生まれていなかったでしょうね」

沈痛な面持ちで、彼女は言った。ギルドマスターが続けて、

「無論、そんな曰くつきの代物、残して置けるはずがない。事実上のオリジナルは聖女の手により何処かへ封じられ、今もそこにあるとの話じゃ。それはこの国が国難に瀕しても使われることがなかったとな。そして純血達が作ったレプリカは、その大半を我々ギルドが保管し、残りは混血達の穏健派が厳重に封印しておる。じゃが、これは…」

ギルドマスターが魔笛を掴み、じっくりと見ている。

その目は、かつて彼も冒険者だったとはっきり感じさせる眼力があった。

「…間違いない…か。マイカ嬢は、どうかね。わしは実物を見たわけではないが、文献から形状とその能力は知っているのじゃが」

マイカに手渡す。その笛をじっくり見て、私に返してからこう言った。

「間違いない、オリジナルだよ、コレ。しかも所有者は…リップル、あなたになってる」

『へ?』

いつ、その手の危険物の所有者になるような儀式をしたのだろうか。

深く思い出す。……ダメだやっぱりそんなことした憶えがない。

「…リップルずっと肌身離さず、それ持ってたのよね」

その言葉にこくんと頷く、あんな禍々しい物を誰かに手渡すことができるのかと。

「多分そのせいじゃな。儀式なんぞせんでもお主の垂れ流しの魔力であれば、魔道具それも生きているものはお主を所有者と認めるじゃろ。変に邪気がないのも好印象の一つじゃな」

そりゃもともと、そんな禍々しい気を放っていたモノを持っているのに邪な考えなんて浮かぶはずもないじゃん。ほかの人は別として、私は知識としてそんな馬鹿達の結末を知っているのだから。

だけど、問題はそんな軽くはない。これがオリジナルだとして、

「問題はこれが作られたのか、盗まれたのかじゃな」

「そうだね、これが作られたのだとしたら、大問題だね」

そう、これがどちらの行程を辿りここに来たのかが問題だった。

「なんでですか?どちらにしても、これがここにあれば問題はないんじゃ」

リリアが言う。けどと、私が付け加える。

『作られたのなら、短期間で禍々しい気を放つほどの憎悪を受けたことになる。そして、作れたのなら、複製できる。このオリジナルを量産できる。コストなんて度外視しないと無理だけど。これほどの憎悪の持ち主なら間違いなく作る。そして誰の手にわたっても危険なこんなものが世の中に溢れかえるかもしれない。盗まれただけなら、時期にもよるけど、少なくとも同じ物を作るための設計図が作れる時間があったとは思えない。そんなに長い間、こんな危険な代物をほおっておくとは思えないから』

私の念話を聞いていたリリアがさらにたずねる。

「錬金術による複製は、可能なんですか」

「いいえ、オリジナルに関しては不可能よ。もともとワンオフでしかも、理論上の限界すら超えた代物だから、職人の、それもドワーフの熟練クラスの技術がなければ、同じものを作ることすら難しいわ。錬金術で出来る調整範囲から軽く超えてしまっているのよ。この魔笛は」

「それは安心できることなんでしょうね」

「ええ、複製されないことが一番なんでしょうけどね。時間をかければ。言い換えれば、時間をかけなければ作れない。彼らが複製するつもりなら、何が何でも時間稼ぎをするでしょうね。このオリジナルは、それだけの可能性を秘めているのだから、国すらもつぶせるほどの」

静寂が私たちを包んだ。今のところ私たちに取れることは少ない。

「では現状を再確認しよう。その魔笛は、いまから約三週間前、この王都で男がスった。間違いないな。」

こくんと頷く。

「その時はどんなものかわからず、一週間ほど経ってから、魔獣を操れることに気づいた。そして、訓練に二日、その日以降バウルの被害がひどくなったことから男がバウルを使い襲撃を繰り返していたんじゃろう。そして現在に至ると。すられた側はすぐさま気づいたじゃろうから、すぐ作り始めるじゃろう。三週間もの間放置して置けるほど、楽な品物ではないからな。じゃが魔笛の作成期間は約一ヶ月、使えるようになるまでにはおよそ一週間…時間がないのぉ。こちらとしては、王に渡すわけにはいかんからのう」

騎士たちが使えんと嘆いていた。

理由を聞けば、それはこっちの事情じゃとはぐらかされた。おそらくだが聖女に関係のあることなのだろう。

「とにかく、聖女の方に連絡を取って、これが盗まれたものなのかそうでないのかそれだけは判断しないと。後者なら、まだ動き出さないから先手が取れる、なんにしても動くのは早いほうがいいわ」

マイカの言葉に私たちは頷きそれぞれ行動を始めた。全てはこの平和を長続きさせるため。




同時刻、妖精の贈り物フェアリーギフトの片隅で、ニーナはその人物と会っていた。

「お久しぶりです、聖女様。」

「構いません、それよりギルドの方はどうですか?」

「そこそこ賑わっていました。この前なんかは…」

二人共ジュースを飲みながら、王都での何気ない話をしていた。

そして

「すいません、内密なお話をしなければとは思い連絡させていただきましたが、場所まで用意していただいて。」

「本来なら、私が直接赴くべきなのでしょうが立場上そうもいかなくて、…いえ今はそんな話をしている暇はありませんね。伝えたい事とはなんでしょうか」

そして、あの笛のことを伝えた。魔獣を操れる笛を、その話を聞いた彼女の顔色が徐々に青ざめる。

「その笛の形覚えていますか?」

「えーとたしか、十字架みたいな形をした笛ですね」

突如彼女はこちらを向き、かなり声を落として聞いてきた。

「その話ほかの人たちにはしましたか?」

私も声を落としながら聞いた。

「いいえ、私は誰も…そんなに不味い代物なの?その笛は」

「マズイを通り越して、戦争の火種になりかねない代物です。とにかく、私の方も確認に動きます。あなたはチームと合流して、現物を持ってこちらに来てください。ここの店主は、私たちの古い知己です。私が来れなかったら、店主に話を通して、聖女にあってください」

ではと言って、彼女は店主に金貨を払い出て行った。

後で知った話だがこれには、口止めの意味が込められていたらしい。

どことなくやな空気が漂ってきたのだが、私ができることは今のところ自分のチームにこのことを伝えることだけだろう。

そう思いながら銀貨を払い出ていった。

なんだかきな臭くなってきましたが、まだことは起こりません

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