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シュラ道

作者: 黒黰黎
掲載日:2026/03/11

読みにくい所や誤字の報告などしてくれるとありがたいです。



感想または質問にはできる限りお答えするので書いてくれると嬉しいです。

地獄それは生前、罪を犯した者が送られる地


地獄では死が存在しない。奴らはすでに死人なのだから、もし仮に死んだとしてもすぐに生き返りまた罰を受ける。地獄における本当の死とは無になることだ


そこでは己が罪に対して判決を渡されその罪に合った六つの道のどれかに堕とされる


自死道

生前、自殺をした者が堕とされる道

その道では自分自身を再び殺すことによって罪が償われる

もし、自殺を拒否した場合、鬼によって殺される。しかしそれによって罪が償われることは無い。この道は自死でのみ罪が清算される

自死を繰り返しやがて自身のすべての自我が消えてようやく輪廻に戻される


欺瞞道

生前、嘘をついた者が堕とされる道

その道では質問に答えることによって罪が償われる

その者が今までついた嘘の数とその質の分だけ鬼が問かける

問われた者は必ず答えなければならない

だが、その答えは必ず嘘の言葉を喋らされる

そして嘘をついた者は鬼によって舌を抜かれ

殺される

すべての嘘が清算されてようやく輪廻に戻される


我欲道

生前、欲に溺れた者が堕とされる道

その道では欲の消失によって罪が償われる

鬼が、用意した高熱の巨大釜に入れられその身が失くなるまで出てくることは出来ない

自身の欲がすべて釜に溶けだすまでこれを繰り返す。欲が強ければ強いほどより多くより長く釜に浸からなければならない

すべての欲が清算されてようやく輪廻に戻される


狂暴道

生前、他者を傷つけた者が堕とされる道

この道では力によって罪が償われる

鬼による一方的な力。反撃も反抗も許されない

ただ、己自身の無力を押し付けられ続ける

すべての力が清算されてようやく輪廻に戻される


無限道

生前、奪った者が堕とされる道

その道では時間によって罪が償われる

何も無い場所。光も音も無い。ただ小さな空間にただ一人罰が終わるまでその場所から出ることは出来ない

すべての時間が清算されてようやく輪廻に戻される


修羅道

生前、多くの人を殺した者が堕とされる道

その道では戦いによって罪が償われる

まず初めは何も持ってない状態でその場所にとばされる

そこには多くの罪人たちが争っている

地面には大量の凶器が転がっている。しかしそれらの出来は良くなく相手を中途半端に傷つけ苦しむような物しかない

朝も夜も無く、休みも無し。ただ、そこには戦いだけがある

死んでは生き返りまた戦う

やがて自我がなくなり何も考えられない状態でもまだ戦う

相手を殺すためだけに体だけが動く

いくら死しんでも自我が消失しても輪廻に戻されることは無い





「ハハハッ、いいぞ小丸(こまる)そのまま突っ切れ」


立ち上がれば数メートルはあるであろう鬼が手と足を地に付け四足歩行で疾走していた。その鬼の背中に乗っている黒髪黒目の服と言っていいのか判らぬ布を身に付けた一人の男が声高らかに笑いながらそう叫ぶ


小丸と呼ばれている鬼が走っている場所、そこは修羅道に堕ちた者が送られる地。終失地と呼ばれ日々終わることのない戦いが行われている


そんな一人の男と一鬼の鬼が目指している場所は地獄の中央、地獄にいるならほぼ全ての場所からその建物が見える。獄天城、地獄の大王が御座す処



「他の奴らは、大丈夫かね?」


鬼の背に激しく揺られながらそう思うげに呟く


鬼も鬼で必死の速度で駆けている。地面に落ちている武器を踏みつけ破壊しようが進路方向に立っている罪人をその身で弾き飛ばし鮮血を撒き散らされようが気にせず走り続ける



その疾走が完全に停止する


「ん?どうした、小丸」


急な停止に背中に乗っていた男が問いかける

だか、すぐに男が異変に気付く

自身より遥かにでかいその体が震えていた

畏怖の象徴のような存在が恐怖を抱いてる


男が視線を正面に向けその恐怖の存在を認識する


「げっ、童切(どうせつ)かよ」


「やはりお前かシュラ。今度はどんな問題を起こしている」


男が背中から飛び降り目の前の存在と向き合う


童切と呼ばれた存在は明らかに異様な空気を纏っていた


身長は小丸より遥かに小さく一般的な人間の大きさと変わらない

その右手には鞘に収まっている一振の刀が握られており全身をコートのような布で体が隠れておりフードを深く被ってその顔を、確認することはできない。だが、そこから伸びる二本の角が人間ではないことを証明している


「まったく、何をしている小丸」

獄人(ごくじん)たる鬼が罪人の手助けをするなど」


「スイマセン、童切様」


小丸が申し訳なさそうにそう言う


「おいおい、あんまり小丸をいじめんなよ。可哀想だろ」


「はぁー、まぁいい。今回の目的は何だ」

「方角的には獄天城だが何をしに行く」


「なーに、ちょっと大王にお願いしに行くだけさ。後は他の奴らと競争してる」

「いつもなら嬉しいけど今日はちょっと急いでんだ。だから今日こそ勝たせてもらう」


「ふん、通れると思っているのか」


姿勢を低くし刀に手を添える

纏う空気が更に濃くなる


「はっ!押し通るさ」


両手の拳を硬く握り締め駆け出す





「一体何の騒ぎだ」


獄天城その一室、地獄総括大王室。その部屋に備え付けてある立派な机に手を置き椅子に座る女性が部下からの報告を聞くために質問した


その女性は地獄にいるにはあまりにも似つかわしくない女性だった。銀色に伸びた長い髪は後ろで綺麗に纏められており、何一つ支障が無いが如く輝いている。肌にも傷一つなく布面積が少ない服を着ているにも関わらずその美しさがわかる。

角は生えておらず知らぬ者が見たら只の美しい人間の女性と、思うだろう。

しかしその目の紅黒い瞳孔は縦に伸びておりそれだけで彼女が普通ではない。存在を示していた



「はい報告いたします」


外の騒ぎを報告するため部屋を訪れた鬼が答える


「我欲道にある大釜の一つが突如、大爆発を起こしその爆発を皮切りに数人の罪人たちが各地で反乱しているようです」


話を聞いた女性は目元に指をやり眉間に皺を寄せる。せっかくの綺麗な顔が台無しである


「わかった。報告ご苦労、現場に戻り対応にあたってくれ、私もすぐに向かう」


「はっ!!失礼します」

扉が閉まり出て行ったの確認する


女性は椅子の背もたれに寄りかかり天井を見上げる


「まったく、ここは天上の地獄だぞ」

「こうも頻繁に問題が起こっては困る」


ここ最近の問題は主に一人の男が原因なのだがと心の内に思いながらその者の姿を思い浮かべる


「文句を言ってても仕方ない、私も現場に向かうとするか」


そう言うと椅子から立ち上がり部屋の中央においてある二つソファーとその間にある机を避けて部屋の扉へと向かう



「到着ーーー!」


女性が扉の前近くに迫った時、突然二枚の扉が豪快に崩壊したそれと同時に大きな声と一人の男が立っていた





「シュラ、またお前か」


「あっ!天魔ちゃんじゃん久しぶり」


シュラが、笑顔で軽く言葉を掛ける


それに対して天魔は初め扉が壊れた衝撃でびっくりはしたものの尻もちをつかないように踏ん張った。それでも引け腰になってしまったもののシュラの顔を見た瞬間、衝撃よりも怒りが勝って一歩前に出た。


「毎度毎度毎度、問題を起こして。お前はいい加減それに対応する私の苦労も考えろ」


怒りに任せて一気に捲し上げる


それに対してシュラは軽い対応を返す


「ごめん、ごめん。今回は天魔ちゃんにお願いがあってきたんだ。あと次いでに、誰が一番早くこの場所に辿りつけるか競争もしてたんだよね」


見るとシュラの、体には無数の切り傷があり右腕に関しては、肘から下が完全に無くなっていて血が落ちていっている。


頼むからその状態で部屋に入らないで欲しい


「どうやら、俺が一番早かったみたいだな。やっぱり地獄最速は俺かな」

右手がないので左手を顎に添えてドヤ顔をしている。


非常にムカつく一発殴っても許されるレベルである

と思い天魔が本当に殴ろうとした瞬間、部屋の中から声が発せられた


「残念ですけどシュラさん、あなた三番目ですよ」


「ありゃ」

シュラがその声に反応する


私も部屋の方を見る


そこにはやや紫がかった髪に生前ならばさぞかしモテたであろう美形の優男がいつの間にかソファーに座っていた。


「サイカじゃんもうついてたんだ」


優しそうな、表情で答える


「はい、逆にシュラさんは遅かったですね」

「因みに私は二番目でしたけど、目の前の彼女が一番最初です」


それからもう一人に視線を向ける

反対側のソファーに座る金髪の耳の尖った女性が座っていた。髪の毛は少しボサボサしているがこちらもまた美形である


「と言うことはエリザが一位か」


「うん」

彼女はその一言だけ言って頷いた


「チクショウ、俺の所に童切さえ来なかったら絶対一番だったのに悔しい」

「次またリベンジだな」


シュラが馬鹿なことを言う


「ほう次があるとして良く、次も辿りつけると言えたものだな」

先の発言に対してシュラの後ろから凄みの効いた言葉が掛かる


そこには汚れ一つない童切が立っていた


「申し訳ありません。天魔様、シュラをここまで通してしまいました」


ボロボロのシュラと無傷の童切それなのにどちらが悔しい雰囲気を纏ってるのは明らかだ


「大丈夫よ、童切。あなたは十分やってくたわ」


状況がかなり混沌になって来たので落ち着くために自分の椅子へと向かい座る


「はぁ~、それで私へのお願いって何?」


「そうだった!そっち本命だったんだ」

そんな調子部屋に入ろうとしたので待ったをかける


「ちょっと、そんな状態で入らないで頂戴」


「うん?」

シュラが少し首をかしげる

そして自身の右腕を見てハッとする


「童切、火だして」


ため息を吐きながらも右手を出して手の平を上に向けるそこから顔サイズの炎が吹き上がった


「ありがとう」


そう言うと何の躊躇もなく自身の右腕をその炎の中に突っ込む。

ジュと肉の焼ける音と臭いがする


それを顔色一つ変えずにやってのけている。

地獄では別に痛みが無くなったり鈍くなったりはしない。痛い物は痛いし、傷は傷として体に刻まれる

どんな精神性をしていればそんなことができるのか考えたくもない


「よしこれでオッケイ」


右腕の断面は完全に焼かれ血が零れることはなかった

その勢いのままエリザの隣に座った


そう言うことでは無いのだかそれ以上何も言う気になれないので呑み込んだ


あのソファーはもう変えないとダメだな


「で、実際に何を企んでいるんですかシュラさん。私、今回のこと何も聞かされて無いので気になります」


対面に座っているサイカが質問する


「うん、私も」

それにエリザも同意を示す


逆に君たち二人は何も聞いて無いのにここまで来たの?と天魔は内心毒つきながらも表情は変えずに只話聞く


「そうそう今回、天魔ちゃんにお願いがあってさ」

「いやー別にここが嫌いになったわけじゃ無いんだ毎日戦えるし俺より強い奴はいるしで楽しめてるんだけど、地獄も大体すべて周り尽くしちゃったしさ、ここいらで一回外の世界に出てみたいんだよね」

「だから天魔ちゃん俺達生き返らしてくれよ」


何も聞かされていないのでエリザとサイカも

これには流石の二人も驚いた表情をしている



「無理だな」

たが、私は一言突き放したような言い方で否定する


「大体お前たちは死人だ。そして罪人でもある」

「罪人とは自分の罪がすべて清算されてようやく生まれ変わる」

「今のお前たちでは到底不可能だ」



「うん、だからさ死んだ状態で生き返らしてよ」

「出来るでしょ」


確信めいたその言葉は流石にスルーすることは出来なかった

まるで時間が止まったかのような重たい空気が漂う


「貴様、それをどこで聞いた」

縦長の眼光がシュラを射貫く


「セツナが教えてくれた」


「ちっ、あの老害が」

いかん思わず舌打ちが出てしまった

それにしても一番厄介な相手に話してくれたな

あの男は


「貴様は、どうしてこうも他の罪人たちと関わりがあるのだ」


「みんな良い奴だからじゃない。実際に俺も良く助けられてるし」


罪人が、言うに事欠いて良い奴とは笑えてくる


「私が断ると言ったらどうする」


「その時は」


「俺達三人がこの場所で暴れる」


「童切なんとかしろ」

私は童切に助け船を求める


「殺すことは出来ますがこの三人相手ですと、流石にこの部屋は復旧不可能なレベルになりますが、どうしますか」


詰んでるな


「はぁ~」

大きなため息を吐きいたあと机の引き出しを開けそこから一枚の紙を出した


「良いだろう、お前たちを生き返らしてやる」


「本当か天魔ちゃんありがとう」

シュラが嬉しそうに立ち上がる


「ただし、生き返るにあたって条件とルールを聞け」


「ウンウン、聞く聞く、なんでも聞く」


「まず前提としてお前たちは死人として生き返る。いや、この言い方は正しくないな死んだ状態でその世界に送る」

「それを絶対に知られてはならない」


「どうしてだ」


「その世界の死正観が変わる恐れがあるからだ。冷静に考えてもみろ死んでも死後の世界があるから死んでも大丈夫みたいな感じで自殺でもされたらたまったもんじゃない」


「なるほど」

シュラが納得する


「因みにお前たちも食事や水分を取らなかったら死ぬから気をつけろ」


「わかった、地獄には無いから楽しみだな」

完全に観光気分である


「二つ目は罪の加算だ。お前たちが生き返えって悪事を働けばその分の罪が増える」


「なるほどつまり地獄に戻った際に更に地獄で過ごす時間が増えると言うことですね」

サイカが確認のために聞いてくる


「そうだ、だからお前たち生き返っても悪いことはするなよ」


「はーい」

気の抜けた返事が帰ってくる


「最後に三つ目だ、これが一番重要だ。」

「もし仮にその世界で死んでしまった場合、お前たちが、ここに戻ってくることはない」

「より正確に言うならばお前たちの魂は完全に消滅する」

「そもそも地獄で死んでも生き返えるのは罪人の魂を繋ぎ止める機能があるからだ。その魂を元に体を再構築している」

「だが、その世界にそんな機能もルールもない。罪人のお前たちが死ねば輪廻に戻ることが出来ずそのまま消滅する」

「そしてお前たちを生き返えらせる条件として獣機惶(じゅうきこう)と言う人物を十年以内殺すこと。それが出来なけれ強制的な死が待っている」


「悪事働いたらダメなのに殺すって矛盾してない」

今度はエリザから野次がくる


「安心しろ、そいつを殺しても罪が増えることはない」


「なるほど」

シュラが合いの手を入れる


「途中で止めることはできない。一度受けてしまえば自分が死ぬか相手が死ぬかの殺し合いになる。それでも行くか?」


その問いかけに数秒の間が空く




「天魔ちゃんさ」

その沈黙を破りシュラが言葉を発する



「それだけ?」


その顔はあまりにも純粋だった

何一つ疑念も抱いていない


「ああ」


「そっか。それなら俺は行くよ」

「なーに、十年以内にその中二病って奴を殺して、ここに戻ってくるだけだろ簡単じゃねぇか。十年がどんくらいか俺知らないけど」


「二人はどうする流石に強制はしないけど」


シュラがサイカとエリザに問いかける


「私は参加させて頂きます。このままここにいてもあまりやることも無いですし、ついて行く方が面白そうです」

最初に、サイカが答える


「私もシュラが、行くなら行く」

エリザも同意する


「だ、そうだ。と言うわけで天魔ちゃん三人参加でお願い」




ああ、そうだろうな。お前たち三人ならそう言うと思ったさ

だから出したくなかったんだ、こんな糞みたいな紙は


「良いだろう」


私は出した紙に三人の名前を書いていく


最後に判子を手に持つ


「これを押したら転移が開始される。本当に良いんだな」


「ああ、思いっきりやってくれ」


その言葉道理、私は思いっきり判子を紙に叩きつけた


その瞬間、三人の体が青く光始める


「それじゃ、天魔ちゃん。十年後にまた」


こうして三人の罪人が、地獄より世界に這い戻った




瞼の越しに伝わる

地獄とは違う眩しすぎる光に目をすぐにあけることができない


空気を吸い込む

透き通るような空気

ざらざら感や重たい物を感じない


そろそろ瞼を、開ける

まず、目に入ったのは地面から生える大量の緑色の草だ、地獄ではほとんど見ることのできない

綺麗な緑色


「おっ!体の傷全部治ってる」

先ぼど無くなっていた右腕すら元に戻っていた


そのまま草に体を預けるように背中から倒れ完全に仰向けになる


「なんか、スッゲェ懐かしい気がする」

「俺、生前のこと何も覚えてないけど」


「そういえば、前にそんな話してましたね」

サイカがシュラの頭の左斜め辺りに寝そべった


「娑婆の空気と言うのはこう言うことなのでしょうか、確かこれはくるものがありますね」


「うん、気持ちいい」

エリザもサイカと、反対側に寝っ転がる


罪人のトライアングルこれにて完成!


このまま少しの間、三人とも全く動く気配がなく

しばらくはこれでいいのではと三人は言葉を交わさずとも解りあっていた









「戦いの臭いがするな」

「戦いの気配がしますね」

「戦いの音がする」


三人の意識が急激に浮上する


シュラは即座に起き上がりその方向を見つめる

サイカはゆっくりと立ち上がる服についた草などを払っていく

エリザは少し体をほぐしながら慎重に立ち上がった


「どうします?」

サイカが二人に問いかける


「もちろん、行くに決まってるだろ」

ノータイムでシュラが、答える


「うん」

エリザもそれに賛同する


三人が横並びに並ぶ

目の前には木々が生い茂っている。おそらくこの森を完全に抜けた先で争っている


「なぁ誰が一番早くつける競争しね」

「さっきのリベンジもかねてさ」


「別に構いませんけど、多分私が最下位ですよ」


「いいじゃねか、どうせ罰も無いんだし楽しもうぜ」

「エリザもそれでいいか」


頭だけ動かし頷く

どうやら準備万端のようだ


「それじゃ用意スタート」


三人同時に一歩を踏み出す


シュラは力強くその一歩確実に進んでいく

サイカは滑るような足さばきでグングンと加速していく

それら二人に対してエリザはすぐに一回の跳躍で木の上に登りそれからまた跳躍で木々を移動していく



「エリザさん早いですね」


「ああ、そうだな」


今の順位は本人も言ったとおりサイカが三番手で、シュラがその前を走っている形となる

そして一位は木の上を移動しているエリザだ


最下位とは言えこの二人に着いていっているサイカも中々のスペックをしている


「エリザ調子良さそうだな」


「そうなんですか?」


「ああ、地獄にいたときはあの速度は出せないはずだ。実際に俺も少し体が軽く感じてる」


「うーん、この世界に来たことによって体に変化でも起きたのでしょうか?」


「まぁ、良いことなら今はそんなに深く考えなくて良いだろ」


「そうですね」

「ところで仮に戦いに参加するとしてどちらの味方をします」


「負けてるほう」

ここで勝ってるほうに行かないのはやはりイカれている


「う~ん、話の通じそうなほう」

木々の上から二人の前に降りてきたエリザが悩みながら答える


「お二人の意見が、一致しているといいですね」

その答えにサイカは笑いながら返す


「いっそのこと、第三勢力で参加するか」


「流石に何の前準備も無しに、それをするのは危なすぎるかと。一応、我々死んだら終わりですし」


「それもそうか、そういえば地獄と違うんだったな」


もうすぐ森を抜ける

そこを越えれば恐らく死地が広がっている

それでも三人は速度を一切緩めること無く飛び出す


「はは、まさかこんな奇跡あるんですね」

「お二人の条件どちらも満たせそうですよ」


目の前の光景を見てサイカがそう唱える


大小様々な複数の種類の獣が大量に大きな壁の砦に押し寄せ攻撃を行っていた

砦の方には人らしき姿も見える


そして明らかに押しているのは獣の方だ。


「クソ、またエリザに負けた。地獄では俺の方が速いのに」

「なんか、エリザ速くなってないか」


「うん、ここなら全力出せる」

自信満々にそう返す


シュラが、戦場を見つめ自身の行動を示す


「俺はこのまま真っ直ぐ行って、適当に暴れてくるけど。二人はどうする?」


「そうですね、私は砦の方に向かって状況を確認してきます」

「すいませんけど、エリザさん一人では不安なので着いてきてもらっていいですか」


「わかった」


「それじゃ全員やること決まった訳ですし」

「楽しんで逝きますか」






「本当に宜しかったのですか」


「何がだ」


三人が消えたことで部屋には天魔と童切の二人が残っている

その童切が天魔にそう問いかけた


「あの三人を本当に生かせてしまって」


「何、あれだけ釘を差したんだ。そうそう悪事は働かんさ」


「いえ、そうではなく。無事戻って来れるでしょうか」

「千年以上討伐がされず天界でも、もはや禁忌指定されてしまっている。この世界を」


「問題無いだろう。少し前に天界から勇者なる者も、派遣されたと聞く」

「それに、アイツらはこの地獄で笑っていられるような奴らだ、そう簡単に死なんだろうし。もし仮にアイツらが、獣機惶を殺してもみろ、天界のクソどもがどんな反応をするのか楽しみだ」



「死んだら死んだで問題人三人が消えて、私のストレスが無くなる。どうだ良いことしかない」


「そういう所はお父上にお似になりましたね」


父に、似ていると言われ嬉しいような嬉しく無いような微妙な気持ちになる


そして私の嘘をこれ以上言及されないように、三枚の紙に視線を落とす



自獄紙


罪人の魂と結びついたその紙はその罪人の情報を書き示し更新する




<名称> エリザベート・ハイサルファ

<獄道> 自死道

<死因> 自殺

<堕理> 自身も住んでいた森人の集落を一晩にして壊滅。自身の家族も合わせて、森人を五百三十四人を殺害。その後、自身の首を切り自害


<地獄ノ死数> 百十七回



<名称> サイカード=クランセル=セクサロテ

<獄道> 欺瞞道

<死因> 他殺

<堕理> 彼とその仲間によってとある王国の国家転覆をはかる。彼自身の力と仲間の協力により王国での地位を向上させていき最終的に王族を罠に嵌め、自身が国王の座に就く。その後、仲間によって殺害


<地獄ノ死数> 一回



<名称> 不明 (仮名) シュラ

<獄道> 修羅道

<死因> 不明

<堕理> 争っていた二国の戦争に乱入。それが原因で二国が亡国。世界すべてに影響を与える


<地獄ノ死数> 五十二万七千百八十六回


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