銀行員のナオキさん
お見合いの当日、歩美は昨日購入した水色のワンピースを着て、神戸三宮に向かった。マッチングアプリで男性と会ったことは何度かあるが、それとは違う緊張感があった。
待ち合わせは昼の1時であったが、歩美は早めに三宮に着いた。お手洗いに入って念入りに身だしなみのチェックをした。それと同時に、お見合い相手の「ナオキさん」のプロフィールを再度チェックした。
趣味はサッカー、かなり本格的にされていたようね。
歩美はお手洗いを出て近くの書店に入ってから、スマホ画面でナオキのプロフィールを見た。身長も180cmあり、かなり大きいように思えた。
全国転勤かあ。
歩美はそこが気になった。プロフィールの写真から来る雰囲気や、年収、年齢は歩美の希望通りであったが、もし結婚してよその地方に転勤とかなったらどうしようか考えた。だが、「まずは会ってみないと分からないわよね。」と思い、待ち合わせ場所に向かった。なんとも言えない緊張感が、歩美の表情を硬くした。
1時前に待ち合わせ場所に着くと、スーツを着た、背の高い男性が1人立っていた。歩美が「あの人かな」と思って近づいていくと、その男性も歩美に気づいて近づいてきた。
「はじめまして、ナオキです。」
「はじめまして、アユミです。」
歩美は無事に出会えたことで、とても安心してしまった。まだお見合いは始まってすらいないのに、かなり緊張が解けてしまった。それと同時に、歩美自身も気づいてもらえてよかったと思った。
少しの間があってからナオキは
「よろしくお願いします。」
と言い、歩美も
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
とお辞儀をした。ナオキは、
「あちらの喫茶店に行きましょうか?」
と聞いてきたので、歩美も
「あ、はい。行きましょうか。」
と答えた。自分でもぎこちないなあと思ったけど、ナオキがとても誠実そうな印象だったので、そのまま付いていくことにした。
やがて近くの喫茶店に着くと、ナオキが
「ここでいいですか?」
と聞いてきた。歩美が軽く「はい」と答えたので、2人はそのまま喫茶店に入った。チェーン店の喫茶店ではなく、昔からある純喫茶という雰囲気の店であった。
店に入ると、店員に促されて2人は席に座った。やがて店員がメニューを運んできて、ナオキはアイスコーヒーを、歩美はアイスのレモンティーを注文した。
飲み物が運ばれてくると、2人はあらためて「よろしくお願いします。」と挨拶して、ナオキが歩美に質問を始めた。
「アユミさん、学校の先生をされてるんですか?」




