お見合いの成立
6月に入り、歩美は婚活を開始した。仕事から帰って結婚相談所のホームページを見てみると、早速たくさんの申込みがあった。
そういえば、優奈さんが「入会直後は申込みが殺到する」って言ってたな。
歩美は優奈の言葉を思い出していた。
とりあえず申込みのあった男性を1人ひとり見ていったが、見ている間に深夜になってしまった。顔写真、年齢、年収、職業、趣味、そして自己紹介、あまりに多かったので、全部見るのは不可能に思えた。おそらく20人くらい申込みがあったように思う。歩美はホームページを見るのはそこそこにして、次の日の授業の準備に頭を切り替えた。高校は中間テストが終わり、今度は6月末から7月上旬に期末テストが実施される。
次の日、いつものように高校に向かったが、婚活のことが頭から離れなかった。30歳を過ぎて高校の授業や放課後の部活動に対しては、以前よりは要領よくできるようになっていた。だが、この日はなんとなくぼーっとしてしまう時間が多くて、自分でも経験したことのないほど注意力散漫になっていた。
やっぱり、ある程度はお申込みも絞らないとね。
歩美はこう思っていた。たくさんの申込みがあったのは、正直言って嬉しかった。20代の頃はマッチングアプリをやっていたが、真剣さが伝わってこず、あまり乗り気になれなかった。だが結婚相談所という場所になると相手からもある程度真剣さが伝わってきた。
とりあえず、全員のプロフィールを読んでいる時間はないわ。
歩美はこのように決意した。放課後の書道部の時間であったが、この日は婚活のことを考えながらの指導であった。歩美自身が子どもの頃から書道を習っており、得意なことの部活の顧問になれていて助かった。以前、水泳部の顧問になった時は、右も左も分からないまま、毎日が闘いの日々であった。
この日も歩美は家に帰ってから、結婚相談所のホームページを開いた。また10人くらい、新たに申込みがあった。歩美はある程度年齢や年収で申込み者を区切り、その中で会いたい人にだけお見合いを受けることにした。また、それ以外にも自分から会いたいと思う男性に、お見合いを申込んでみた。1人だけ、スグにお見合いのOKの返事がきた。結局この日は歩美がOKした3人と、歩美から申込みをしてOKされた1人とのお見合いが成立した。
4人も会えば、誰かはいい人がいると思うわ。
歩美はそのような希望を抱いて眠りについた。昨日の時間に追われて仕方なしにベッドに入ったのとは、全然気分が違っていた。




