仮交際と真剣交際
1週間後、歩美は前回結婚相談所からもらった用紙を持って、再び相談所を訪ねた。カウンセラーの優奈が、今回も笑顔で出迎えてくれた。
「素晴らしいですね!よく書けてます!」
優奈は嬉しそうに言った。
「とても真摯に向き合ってくれたのですね!」
そう言って用紙の隅々まで目を通した。
この時歩美は、「独身証明書」と「源泉徴収票」も提出した。どちらも結婚相談所に入会するには必要なものだ。これが、マッチングアプリとの違いである。
優奈の説明によると、結婚相談所ではまずお見合いが決まって、実際に会ってみる。そこで互いが次も会いたいとなれば「仮交際」という状態になる。これは実際の彼氏・彼女の状態ではなく、その前の段階だ。この状態なら、他の人とお見合いしてもいいし、他の人と仮交際になってもいい。
仮交際の状態で、次に結婚を前提とした彼氏・彼女になりたいなら「真剣交際」という状態に進む。この段階にくると、他の人とのお見合いや仮交際は禁止となる。もし仮交際中の人がいると、別れる必要がある。
「まあ、実際に仮交際できるのは1人か2人です。ルール上は複数人と仮交際できますが、そんなにたくさんの人と仮交際している人は、なかなかいないですね。」
優奈が説明を付け加えた。
こうしていよいよ歩美の婚活がスタートした。麻衣の結婚報告はゴールデンウイークだったので、そこから3週間、ちょうど6月の初めから婚活をするのとになる。
「まずは色んな方との出会いを楽しんでくださいね!」
優奈はそう言って笑顔で歩美を見送った。楽しむなんてできるかなあ、歩美は不安であった。
やがて季節が進み、6月になると歩美の専用のホームページができた。結婚相談所のホームページから「マイページ」という箇所に進むことができた。
ここで、男性の方も見られるのね。
歩美はそうつぶやいて、男性のページを見た。たくさんの男性の写真が目に入ったが、年齢の近い人と関西地方在住の人に絞った。
年収は、どうしようか?
歩美は悩んだ。あんまり低い年収だと、さすがに厳しいかも。でも、年収高い人って、話が合うかなあ。歩美は考えた末、年収400万円以上に絞った。
意外とたくさんいるのね。
歩美は目に入ってくる男性の写真を次から次へと見ていった。どの人も真面目で誠実そうな印象だった。せっかく出会うからには、あまり魅力のない人は避けたいと思っていたが、その必要はない感じだった。
これが麻衣の言ってたことね。
歩美は麻衣が「結婚相談所がいい」と言っていたのが、少しだけ理解できた。




