今日が人生で一番若い日
今日が人生で一番若い日
麻衣が発したこの言葉は、歩美の心を動かした。たしかに、今まで「結婚しなきゃなあ」くらいの思いでいた。30歳になる直前は、この思いが強くて焦りにつながっていた。だからといって、何も行動は起こしていなかった。一応マッチングアプリは登録してたけど、深い関係に発展することはなかった。
歩美は30歳を超えて、逆に結婚願望が弱くなった。なんか、「結婚していない自分」に慣れてしまった。このままでいいのか?と思う時もあったが、いつもまあいいかと思って、現状への疑問はどこかに流されていった。
それが今、幼なじみの麻衣が結婚を決めた。これ自体は不思議じゃないけれど、結婚相談所というのは意外すぎた。そして、その麻衣が結婚相談所を勧めてきている。それも尋常じゃない勢いで。
たしかに、「今日が人生で一番若い日」だ、それは間違いない。婚活には若い方が有利だろう。これは婚活をやったことなくても分かる。ある意味、歩美もこのような強い言葉を求めていたのかもしれない。
「分かったわ。結婚相談所、探してみる。」
歩美は、少し吹っ切れたような表情で麻衣に話した。麻衣は、
「お、いいねえ、その意気だよ。」
とお茶目に笑った。その後は2人で良さげな結婚相談所を探した。歩美は知らなかったが、兵庫県・関西地方にもたくさんの結婚相談所があった。
「ここなんかいいかも。」
麻衣はその中の1つを、スマホの画面で表示した。そこそこ規模の大きな相談所で、関西地方では大きな駅前に店舗を構えているらしい。歩美は婚活なんて考えてもいなかったから、どこの相談所がいいのか見当もつかなかったが、ここは麻衣の言う通りにしようと思った。
「結婚相談所って、それぞれ連盟に加盟していることが多いの。だから、同じ結婚相談所の中の人だけじゃなく、他の相談所でも同じ連盟だったら出会えるんだよ。」
麻衣はそう言って婚活業界の説明をはじめた。歩美には知らないことばかりで、その都度驚かされた。
「じゃあ、説明会に予約しよっか?」
麻衣はそう言って笑った。この相談所に入会するには、説明会に参加する必要があるらしい。
「そ、そうだね。」
歩美は少しおどおどしながら、自分のスマホ画面で説明会の予約をした。最終的に「説明会に参加する」のボタンを選択する時は、力が入った。するとスグに歩美のスマホに予約確認のメールが来た。このメールの中のURLリンクに移って、正式に参加の申込みができた。
「やったね、あとはがんばって!」
麻衣はそう言って両手で小さくガッツポーズをした。麻衣は幼い頃から引っ込み思案の歩美を勇気づけるために、このポーズをしていた。




