まいのお相手
歩美に聞かれて、麻衣は自分の結婚相手の写真を見せた。一緒にディズニーに行った時の写真で、スマホの画面を拡大してくれた。
その他にもやや引き締まった顔の写真や2人でディナーを食べた時の写真も見せてくれた。年齢も麻衣の2つ上みたいで、話も合うらしい。なにより、爽やかなイケメンという感じだった。
「へえ、いい人そうやね。」
歩美はありきたりな感想しか言えなかった。麻衣はニッコリしながら、
「へへ、そうでしょ?」
と愛嬌をふりまいた。歩美は、
「なんか、結婚相談所にいる人って、なんというか、その、ちょっと変わった人っていうイメージだから。普通に爽やかなイケメンって感じ。」
と正直な感想を話した。麻衣は歩美の言いたいことが分かっていたらしく、
「うん、まあ、私も最初はそう思っていたけどねえ。」
と言っておどけた表情を見せた。そして、
「でも、全然そんなことないよ。今時結婚相談所なんて普通だし、むしろ最近の若い人は結婚相談所に入りたい人多いよ。男性だって、いかにも結婚てきなさそうな人なんてほとんどいないし、むしろ真面目で誠実でそれなりに稼いでいる人がほとんどだった。」
と言った。さらに、
「ぶっちゃけ、この人はどうなんやろ?って思った人は1人か2人くらい。何十人と会ったけどね。」
と続けた。歩美は、
「え、そんなに会ったの?」
と、麻衣の「何十人」という言葉に反応した。麻衣は、
「そうだよ、何十人かな。最初は数えてたけど、数えきれないくらい。」と笑った。そして、
「婚活がはじまると大変だよ。1日に3人くらいお見合いを掛け持ちして、それが終わったら1日に何人かとデートして、もちろん1回のデートでは1対1だよ。」
と付け加えた。歩美は麻衣がそんなに大変な思いをして婚活をがんばったのかと思い、衝撃を受けた。歩美は、
「そんなに大変だったのね。なんか、すごいわあ。」
と言った。どこか他人事みたいな歩美の発言を、麻衣は見逃さなかった。
「何言ってるの?次はあなたの番よ!」
麻衣はテーブルの向かい側から身を乗り出してきた。
「歩美は?今はそういう人、いるの?」
あまりの迫力に、歩美は、
「いや、今は、いないけど。」
と歯切れ悪く答えた。
「なら、婚活するべきだわ!」
「ええっ?ちょっと待ってよ。」
「どうして?」
「いや、私はまだいいよ。結婚相談所なんて、早い気がするし。」
そのセリフで、麻衣に火が付いた。
「早くない!歩美より若い人が今日もどんどん婚活してるのよ!歩美、このままだと益々乗り遅れるよ!」
「う、うん。」
そして、麻衣は決めゼリフを言った。これが歩美の心に突き刺さった。
「歩美、今日が人生で一番若い日なの。」




