お見合いの回答
歩美はナオキとノリヒロとのお見合いを終えて、神戸三宮を後にして自宅に帰った。お見合いの結果は翌日までに回答しなければならない。だが、歩美の中で2人の印象は既に決まっていた。
ナオキは、歩美の感情に対して鈍感な印象であった。歩美が教師であるにもかかわらず「いちおう教職を取っていた」とか「教師になってもよかった」とか言って、教職へのリスペクトが感じられなかった。
その一方で、ノリヒロの方は時間を忘れて話をすることができた。自分がITやパソコンに弱かったものの、それを気にすることなく話ができた。時折飛ばしてくるジョークも、歩美にとって新鮮だった。
「やっぱり、ノリヒロさんはOKよね。」
歩美は帰りの電車で一人つぶやいた。「次も会いたい」と思わせる魅力がノリヒロにはあった。
「ナオキさんは、どうしようか・・・?」
歩美はナオキとのお見合いの回答をどうしようか悩んでいた。正直、次も会いたいかと言われると微妙だった。まあ、悪い人ではないのだろうが、やっぱり次回も会うのはやめにしようと思った。
「よし、決まり。」
家に帰ってから、歩美はパソコンの前で独り言を言った。そして、結婚相談所のホームページから自身のページを開き、まずはノリヒロのプロフィールの下にあるYESのボタンをクリックした。そのままナオキのプロフィールに移り、その下にあるNOのボタンをクリックした。
「これでよし、と。」
歩美はそう言うと、パソコンをつけたまま風呂の準備をした。やがて風呂場からお湯はりが完了した音声が聞こえると、歩美は着替えを持って風呂場に向かった。お見合いの回答は来てなかったが、また風呂上がりにパソコンを開けて見ようと思った。もっともナオキの方の回答を知るすべはないが。
この日、歩美は初めてのお見合いで、それも2件も経験して、かなり疲れたのでいつもより長く風呂に入った。念入りに身体を洗い、まぶたの上から指をゆっくりと当てて、疲れを癒やした。やがて風呂場から上がり、身体をバスタオルで拭いて、ドライヤーを当てて髪を乾かした。その間は、お見合いのことも忘れていた。
やがて寝る支度ができてから、歩美は再度パソコンにログインした。そして再び結婚相談所のホームページから、自身のプロフィールに入っていった。自身のプロフィールの下の方に、今日のお見合いをしたお相手のプロフィールが掲載されているので、ノリヒロのを開いた。すると、ノリヒロもお見合いの結果を入力したようで、彼の返答がわかることとなった。歩美は無意識にその返答を確認した。
ノリヒロの返答は、歩美に対してNOの回答であった。




