IT系のノリヒロさん
ナオキとのお見合いを終えた後、次のお見合いまで時間があるので、再び喫茶店に入った。今度は純喫茶ではなく、チェーン店の喫茶店だ。また夕方にはお見合いで喫茶店に行くというのに。
次のお見合い相手のノリヒロという男性はIT系の会社に勤務しているらしい。プロフィール写真では他の男性と雰囲気が違って、どこかオシャレな感じがした。
さっきの人も悪い人じゃなかったけとまなあ。
歩美はそうやって、先程お見合いをしたナオキの良いところを探そうとした。だが、次のお見合いも迫ってくるので、ノリヒロのプロフィールを見るのに切り替えた。
夕方になり、また神戸三宮の一角で待ち合わせをした。待ち合わせ場所にあらわれた男性は、先程の真面目そうなナオキとは違い、どこか垢抜けた空気を持っていた。
「はじめまして、ノリヒロです。」
その男性は、歩美を見つけるなり、少し急ぎ目で寄ってきた。
「はじめまして、アユミです。今日はよろしくお願いします。」
歩美は、先程のナオキの時と同じように挨拶をした。ノリヒロは、
「はい!よろしくお願いします!」
と元気よく返事をした。
その後2人は喫茶店に向かった。神戸三宮界隈には、喫茶店は数多くあるが、純喫茶で駅近となると限られている。だが、先程のナオキとは別の喫茶店に行くことになった。
席に着いてメニューを見た後で、ノリヒロは店員を呼び止めた。そして、歩美の注文を確認してから、
「アイスのレモンティー、2つお願いします。」
と言ってまとめて2人分を注文した。
「ありがとうございます。」
歩美はノリヒロが自分のも注文してくれたので、礼を述べた。
しばらくして2つのアイスのレモンティーが運ばれてきた。ノリヒロは少し前のめりになって、
「アユミさんは、学校の先生をされてるんですか?」
と聞いてきた。先程のナオキと、会話の始め方が同じであった。
「ええ、高校で国語を教えています。」
歩美は、丁寧に答えた。ノリヒロは、
「国語かあ、すごいですね!」
と言った後で、
「ボク、学生時代に国語が苦手だったんですよね。」
と言って、少し白い歯を見せた。その後で、再び身を乗り出して、
「だから、国語ができる人、尊敬です!」
と言ってきた。
見えすいたおべんちゃらだったが、会話の感じとしては悪くなかった。歩美は、
「いえ、そんな、大したことないですよ。」
と言って謙遜した。するとノリヒロは、
「いえいえ、そんなことないですよ。」
と言い、
「国語のテストは苦手でしたけど、本を読むのは好きです。国語の教科書の内容とか、好きでしたね。」
と言い、
「でも、テストができなくて。」
と言って再び白い歯を見せた。ノリヒロの明るい感じの話し方に、歩美は徐々に引き込まれていった。




