あゆみとまい
「結婚相談所?!」
歩美は麻衣の話に思わず声を上げた。
「しっ!声が大きい!」
麻衣は少し顔をしかめて、でも怒っているわけではなく、冗談っぽく笑って歩美をたしなめた。そして、
「そう、結婚相談所。」
と先程の言葉を繰り返した。
ここは、神戸市内の喫茶店。兵庫県内の高校で国語の教師をやっている歩美は、幼なじみの麻衣とお茶をしていた。子どもの頃から大人しかった歩美に比べて麻衣は活発な女の子であった。高校までは同じ学校に通ったが、歩美は地元の大学に通い、麻衣は東京の大学に進学した。大学生になってからは麻衣が兵庫県に帰省するたびに、2人でお茶をしたり映画を見に行ったりしている。それは、歩美が地元の兵庫県の教師になり、麻衣が全国転勤の会社に就職してからも続いている。性格が正反対の2人が、これだけ長い間親友でいられることは、互いが不思議に思っていた。だがそれぞれ飾らずに自然体でいられる関係に居心地のよさを感じていた。
互いに30歳を超えてからもこの関係は続いたが、この日麻衣は歩美に結婚の報告をした。結婚の報告自体に、歩美は驚かなかった。明るく活発な麻衣ならば男ウケもいいだろうし、理想の男性を捕まえても、なんら不思議はなかった。だが、その出会い方に歩美は驚いた。結婚相談所?!麻衣が?!
「てか、結婚相談所って意外すぎるんだけど?」
歩美は素直な気持ちを麻衣にぶつけた。結婚相談所って、なんというか、もっとモテない人が入るものだと思っていた。なんで麻衣が?!
歩美の思っていることを察知した麻衣は、あっさりとこう言った。
「今時、結婚相談所なんて普通よ。」
そして
「東京じゃ、こんなお昼の時間、婚活してる男女ばっかりよ。スーツ姿の真面目そうな男性と、小綺麗で清楚な服装の女性、喫茶店なんてこの組み合わせの男女ばっかりなんだから。」
と続けた。
たしかに、この喫茶店にもそういう雰囲気の男女が何組かいる。歩美は辺りを見渡して気がついた。
「そう、なんだ。」
歩美はそう言ってふと気がついた。
「あ、麻衣、ごめん。あの、おめでとう!!」
そう、結婚相談所で出会ったと聞いて、祝福するのを忘れたかもしれない。私ったら、唯一親友と呼べる麻衣に対して、なんてことを。
「ありがとう、もう4回目よ。」
麻衣は歩美を茶化した。
「え、あれ?そうだっけ。」
麻衣は恥ずかしいやらなんやらで、すっかりこんがらがっていた。でも、何はともあれめでたい、うん、めでたい!
そう思って、麻衣に再度質問をした。
「それで、お相手は、どんな方なの?」




