最終話
臣籍降下して伯爵となると決まったエボールは何やら真面目そうな顔つきになったサキュラに困惑した。
「エボール様! 私達の婚約が決まったからには、これから二人で伯爵夫妻として頑張っていきましょう!」
「さ、サキュラ?」
「今までのように立場に甘えてただ遊び呆けるのではなく、立場を自覚してそれに見合う貴族になるべく一緒に支え合っていきていきましょう!」
「ど、どうしたんだサキュラ? そんなに真面目になって……」
サキュラはこれまでの自分を見つめ直して自分のしてきたことを反省した。そして、その反省を活かして生まれ変わろうと決意したのだ。その思いをエボールとも共有しようと思っていた。
「私反省したんです。自分のことばかりでエボール様と遊び呆けてした自分に……だからこそ、エボール様と一緒にに変わろうって決めたんです!」
「わ、私と一緒に変わる?」
「そうです! 一緒に反省して、変わりましょう……いいえ、一緒に豹変しましょう! 私達が素敵な貴族だって皆に見直してもらえるように!」
「あ、ああ……そうだね、頑張ろう……」
エボールとサキュラ、二人は互いに反省して少尉に見直されるまでに未来を走っていくことになる。
◇
グレートアイズ王国に王子が一人戻ってきた。隣国の公爵令嬢を婚約者として連れて来る形で。
「我が国にようこそユトピア」
「光栄ですわロドバ殿下」
艶のある黒髪と赤い瞳の青年がユトピアを笑顔でエスコートする。この青年こそロドバ・ロン・グレートアイズ王子――隣国でカート・クモンと名乗っていた男だった。
「ふふふ、まさか自国の王子と婚約解消した私が隣国の王子と婚約することになるなんて思ってもいませんでしたわ」
「俺も隣国に留学まがいのことをしていたら婚約者を決めることができるとは思ってもいなかったよ。それ以前に王子の側近になることもそうだけどね」
「あら? 王子様が王子様の側近を務めるなんて貴重な経験ではないのですか?」
「そうだね。おかげでエボール殿下のようになりたくないと思えたよ」
「そうですよね。あんな王子は願い下げですから!」
二人はキョリュグリド王国でのことを昔話であるかのように語り笑い合う。その笑顔はキョリュグリド王国では見せたことのないような本当の笑顔だった。それもそのはず、ユトピアは好きでもない相手と婚約することもなければ、ロドバはもう偽名を名乗って誰かの側近として仕えることはないのだから。
ユトピアとロドバ、二人は互いに信頼し合って愛し合ってともに未来を歩いていくのだ。
終わり




