第1話
キョリュグリド王国。国の規模も少し小さめの中堅国家。比較的平和で隣国との関係も良好な豊かな王国だ。長年平和が続いてきたこともあってか、貴族たちの中には気が緩んだ者も多く見える。
例えば、王族の身でありながら婚約者の義妹と浮気する者。つまり、王太子エボール・ティー・キョリュグリドのような者のことだ。いや、もはや愚か者とよんだほうが良いだろう。赤紫の髪に黄色の瞳、童顔系の美男子だが思慮が足りないし努力を怠りがちで馬鹿だ。
エボールは公爵令嬢ユトピア・ドパン・サジタリスと婚約していた。ユトピアは輝く金色の長い髪に銀色の印象的な瞳、大人びた感じの美しい女性だ。なんでもそつなくこなして模範的な公爵令嬢、完璧な貴族令嬢と誰もが思う。それほどの優れた令嬢と婚約していたにも関わらず、エボールは性格上の不一致から彼女のことを蔑ろにしていた。しかも、気が合うし好みのタイプだということで彼女の義妹サキュラ・シグマ・サジタリスと仲良くするしまつ。
サキュラはウェーブの掛かった紫色の髪に銀色の瞳、庇護欲をそそる可愛らしい顔の美少女だが性格はわがままで自己中な性格だった。その考えなしな性格から、エボールとの関係を楽しんでいた。姉の婚約者に自分を選んでもらったという優越感から、エボール同様ユトピアに対し上から目線になっていったのだ。
二人共、堂々と見せつけるかのような振る舞いにユトピアには呆れられてしまっている。嫌気が差したユトピアは父と国王と秘密裏に掛け合って婚約解消を決意した。




