第67話「最悪の推測」
屋敷では、騎士の重役達が集っていた。
「セクド様、ラパー、ロナティッタ、アイスティアを探していますが、見つかってません。関所は念のため厳重に調べるように通達済みです」
サラティスは結局見つからなかった。
一度襲撃の情報共有のために屋敷に戻っていた。
現場にも騎士達の一部が残り、片づけをしている。
「セクド様、心あたりがあるのではないでしょうか?」
普段は参加することのない、ハルティックが口を開く。
「ああ。考えたくないんだけどね」
悲痛の声を必死で抑え込む。
セクドの推察に騎士達は声をなくす。
そもそも、あの光は一体何か。
まず魔術で間違いないだろう。
では、何のために?
もちろん、トスタトタタンから治療所を守り、追い払うために。
なら、誰が?
既に医者、騎士に確認したが魔術を使った人間はいなかった。
なら、サラティスが光魔術を使ったので間違いないだろう。
それにサラティスなら、守るために行動を移すことは容易に想像できる。
そして、トスタトタタンが去った後には逃げ遅れた子供が。
なら、子供を助けたのではないか?
ハルティックが消えたと思ったのは、サラティスが強化魔術で目に追えない速度で、子供を助けに行ったのでないか。
全てが納得できてしまう。
問題はサラティスが強化魔術をどこまで使えるかである。
が、あの神童サラティスである。
並みの騎士より、使えてもおかしくはない。
最後に残るは現在のサラティスの所在である。
「子供が攫われそうになった間に入ってトスタトタタンに持ってかれたんじゃないかな?」
最悪の推測である。
が、一番納得がいく。
トスタトタタンは恐らく餌を巣に持ち帰るだけのことであろう。
巣がどこにあるか不明だが、サラティスはリベール大森林か魔族の生活圏のどちらかにいる可能性が高い。
「それでは、サラティス様の捜索は」
「……リベール大森林の手前で止めるしかない」
指が手のひらを突き破ってしまうのではないかと思うくらい、強く強く手に力を込める。
親として、すぐさまリベール大森林に行って捜索したい。
が、領主である以上リベール大森林に踏み入れる禁を犯すことはできないのだ。
まだ、サラティスの場所が明確に分かっているのなら、人命救助の名目で立ち入るくらいなら看過されるだろう。
が、どこにいるかも分からない現状、捜索する必要があり、さすがにこれは看過されない問題だ。
「すまない。暫く指揮を任せてもいいだろうか?」
騎士は頷く。
騎士達は屋敷を出て、街に戻っていった。
「ハルティック、アレシアを呼んできてくれるかい?」
「……」
無言で頷き、仕事部屋を後にした。
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