表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/315

第51話「空の目」

「あれは、空の目っていうんですな」

「空の目?」


 やはり目。空?何かの魔術か何かと好奇心が溢れだす。


「今から十四年前ですが、この街で大事件が起こったのです」


 朝、住人の通報で騎士達が現場に急行した。

 人通りの少ない裏路地に七人の死体が転がっていたからだ。

 大量殺人である。

 遺体を見ると、柄の悪そうな男たちだった。

 もしやと思ったが案の定犯罪者で、このうち二名は指名手配されてるごろつき集団だった。

 なので、仲間割れやトラブルの事件として捜査が始まった。

 唯一気がかりだったのは死因だ。

 全ての遺体に頭部に指程の穴が一つ開いていた。

 これが死因だが、凶器等も現場にないため何らかの魔術ではないかと判断された。

 しかし、これだけで終わらなかった。

 次は三人、二人、四人、一人と違う箇所で皆頭部に穴が開いた死体が発見された。

 合計十人も皆、真っ当な市民ではなかった。

 夜間も騎士が見回るようになった。

 そして、暫くしまた次なる被害者が発見された。

 それは犯罪者ではなく、商人だった。

 しかし、この商人も黒い噂が流れるような人物で、清廉潔白とはいえなかった。

 捜査が進むと、この商人は数多の犯罪に手を染めており、噂は本当だった。

 ここである噂が流れ始めた。

 殺されるのは皆犯罪者だ。

 正義の使者が悪人を懲らしめてるだけだと。

 当然だが、領主は私刑を見逃すことはできない。

 騎士達はさらに増えるが、一向に進展はなかった。

 老若男女関係なしに次々と死体が現れる。

 どれもこれも調べた結果犯罪に手を染めていた証拠が出てきた。

 領主は別の意味で嘆いた。 

 犯罪者がこうも多かったのかと。

 全員が死刑になるほどの罪かといえば違う。

 領の力全てを使って犯人を捕まえようとした。

 いつしか、死体は五十を越えた。

 この中には騎士も含まれていた。

 その日を境にパタッと死体が現れなくなった。

 最初の七人が発見されてから三か月後のことだった。

 つまりは三か月で五十人以上殺された、前代未聞の大事件である。

 犯人が特定できないのはその殺し方であった、

 全員が頭部に穴が一つ開いて死亡。 

 何より穴は次第に小さくなっていっているようだった。

 同一の殺害方法なので全て同じ人間によるもの。

 大量すぎるので、魔術具を使用した組織的犯行だと。

 錯綜していた。

 そして街中ではまた噂が囁かれいた。

 殺された人間は全員何かしら罪を犯したことのあるもの。

 つまり、街にいる犯罪者は全員殺されたから、もう死体が出てこないのだと。

 二か月が経ち、一切捜査に進展がなかった。

 が、ここにきて大事件が起きた。

 領主家ではない貴族の次男が屋敷で殺された。

 今まではある街の大事件であったが、貴族が殺されたことにより他領の貴族達も警戒した。

 何よりも特質なのが暗殺ではないということだ。

 貴族が殺されたのは昼、しかも自身の屋敷内でだ。

 この貴族は中庭でゆったりとくつろいでいた。

 本読みながら、酒を飲む。優雅なプライベートな時間だった。

 当然周囲には使用人もいる。

 使用人の証言によると、椅子に座っていた貴族がいきなり後ろに倒れこんだ。

 酒を飲んでいたので酔って転倒したのかと。

 使用人が駆け寄り起こすが反応がない。

 よくよく見れば額に穴が開いており死んでいたと。

 すぐさま屋敷は封鎖され、屋敷にいた人間を全員調べたが不審者はいなかった。

 他領の魔術師が捜査に協力し、衝撃な事実が判明した。

 頭部の穴は雷か火魔術で、遠距離から狙撃されたものだと。

 まるで、空から雨が降ってくるかのように、攻撃魔術で狙撃されたのだ。

 犯人を空の目と呼び、指名手配した。

 殺された貴族はもれなく、かなりの犯罪に手を染めていた。

 発覚すればまず死罪であった。

 街では当然噂が広がり、空の目が見てる。悪いことしてたら罰を受ける。

 例えそれが貴族だろうか関係ないと。

 悪人だけを殺したことから、市民の間では一種の英雄として扱われ、結果シンボルとして使われるようになった。


「ああ、あの事件のことなんだね。確か、貴族の事件以降同様の事件は起きてないんだったっけ」


 セクドもさすがに殺人事件は知っていた。


「おっかないですね」


 口では怖がってみせるが、サラティスは対抗するならどうしようかと考え始めた。

 長距離で使用できる魔術は一体何か。

 食事を終え、セクドと共に眠る。

 やはり、旅は楽しいものだと満足しながら意識は夢の中へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ