第436話「二学年」
二学年になり、入学式を見る立場にとなった。
入学生の緊張していますを纏った声が耳に届けられる。
「可愛いですね、頑張ってください」
緊張に負けまいと、一生懸命挨拶をしているように見える。
去年とは大きく異なる景色が新鮮で楽しく映る。
座学の授業は一学年と何ら変りはなかった。
もちろん内容は一学年で習った土台の上に重ねるので比べると多く、難しいものにはなっているが。
異なる部分は当然ながらあり、一学年と大きく異なるのは授業の数だろう。
一学年では一日に五つの授業があったが、二学年になると一つ増え一日に六つ授業になった。
五つ目の授業が魔術教養から専攻授業となり、六つ目も引き続き専攻授業のようだ。
サラティスは回復魔術を専攻した。
初めての回復魔術の授業は魔術訓座学室ではなく、普段から授業を受けている学習室で行われるそうだ。
因みに回復魔術を専攻し、学習室に集まった生徒数は十一人。エステリアに聞いた通りの人数であった。
「初めまして、蕾ちゃんたち」
教員が入ってきた。
独特な緊張感に包まれる学習室を優雅に歩く。
「私はカリナよ。よろしくして頂戴な」
カリナは皆に向けてウィンクを飛ばす。
「授業を始める前に、蕾ちゃん達に一つ質問よ。よーく考えてちょうだいね」
ずいぶんと茶目っ気のある教員のようだ。
サラティス的には実に興味深く視線を奪われる人物だ。
「良い医者とは、どのような医者かしら?」
静寂。
視線は眼前から思考の底へと。
カリナは穏やかに視線をずらしていく。
「では、フィーナちゃん。フィーナちゃんが思う良い医者とは何かしら?」
「……きちんと怪我を治せる医者でしょうか?」
「ふふ、正解よ。怪我を治せないような医者は医者と名乗るべからず。でも、正解は一つじゃないわ。ツニデニットちゃんはどうかしら」
サラティスが知らない男子生徒が指名された。
白クラスではなく、別のクラスの生徒だから許して欲しい。
「冷静に区別できる医者です」
「区別ね。具体的にどういった区別なのかしら?」
「複数人の患者がいる場合、治療する順番を決めます。明らかに助からない患者は残酷ですが、治療しないという選択を取るしかありません。この時可哀想だからと判断を間違えないのが大事かなと」
「そうね。その区別であれば正解ね。医者の使命は一人でも多くの患者を助けることなのだからね」
にことカリナは笑う。
「では、サラティスちゃんはどうかしら?」
「気にしないことですね」
「……」
ぱちくり。
「ごめんなさいね。驚いてしまったわ。この授業で最初に必ずしている質問なのだけれど、初めて聞いた回答だったわ。サラティスちゃん、説明してもらえるかしら?」
「はい。治療して助からなかったら、完治できなかったら文句を言われるかもしれません」
好奇心は真剣へと足を向ける。




