第435話「天井ですか」
「……出ないですね。一部のギルドメンバーや騎士など腕に自信がある人じゃないと行かないかと。もしくは護衛をたくさん雇った貴族の方とかですかね」
「はい。宿というのは人がいて、通り道があって、目的地がある。その間に存在しなければなりません。まぁ、隠れ宿的なのもあるので少人数向けの高価格帯の宿などであればこれでもいいと思います。ですが少なくとも一般的な宿が一般人を相手に宿を繁盛さえるのには人の流れのある所に構えないといけません」
「はい」
「美髪器もそうです。これは生活を便利にする魔術具です。使ってくれる人がいて、改良、装飾してくれる人がいる。それぞれが工夫努力する。美髪器もそれに合わせて進化してくれるならきっと長い間皆に使ってもらえると思います。ここで改造などを禁止すれば、美髪器はすぐに新しい何かにとって代われると思いますよ」
皆が儲けるのであればそれにこしたことはない。
どこか一人、一か所だけが儲けるというのは不幸の一滴。
できることなら避けたいものである。
昔に比べて今はそこまで物騒ではないので、ご近所や関係者から襲撃されるなんてことはそうそうないとは思うが。
「そういえば、エスちゃん。変った魔術具とは具体的にはどういったものなんですか?」
サラティスとしては美髪器はもう作ってしまったものだ。
改良もいいが、今はそれよりも新しい魔術や魔術具を作る方に目が向いている。
「天井や屋根を掃除する魔術具だそうです」
「な、なんですかそれは!」
思わず立ち上がる。
「掃除の魔術具ね。サラは本当に何でも興味があるのね」
「だって屋根ですよ?」
わくわく。
床を掃除する魔術具はいくつか見たことがある。
あれらであれば、サラティスも似た様なことはいくらでもできる。
天井等を掃除させるとするのなら、ぱっと思付くのは風魔術である。
だが、水魔術を使った魔術具というと、一体どのようにするのか。
「詳しい原理や魔術に関しては手紙には書いてありませんでしたが、小さい水球がぶわーっ湧き出て上に向かってと書いてありますね」
「つまりは床など掃除するタイプの応用ですかね。水球を軽くしてかつ風魔術で飛ばす?でも問題は落ちる時か。時限で割るようにする?それとも指向性を持たせ下に這わす?」
エステリアはふと笑みを浮かべた。
それと同時にフィーナ笑う。




