第406話「休憩エリア」
サラティスの説明でフェナクはうんうんと頷く。
巣の中には当然ビルビーの幼虫や卵が詰まっている。
それらを確実に凍らせて駆除する必要がある。
巣が大きい場合、表面を凍らせても冷気が届かない場合がある。
「『消えろ』」
オドゥゴルグが地面に散らばった巣を燃やす。
「ご協力ありがとうございます。何か異変や気付いたことがあれば、受付に御申しつけください」
フェナクは取繕った綺麗な言葉を並べ、お辞儀した。
それから二人は六階の休憩エリアまで付き添ってくれた。
今回のサラティスは三泊か四泊ほどする予定である。
休憩エリアには建物が三棟程確認できた。
建物はどれも四階建て程の高さで、周囲にはレクラット家の騎士が巡回している。
フェナクが女性の騎士に何かを伝えると、その女性騎士がサラティスに施設の紹介などしてくれることになった。
「こちらが共有棟になります。共有棟の中は一階が食事フロア、二階が風呂フロア、三階、四階が寝室フロアとなります」
どうやらサラティスに縁のない建物だそうだ。
「こちらが、女性専用棟になります。中は共有棟と同じになっています」
さらに奥に進むと騎士の数が増えた。
「こちらが貴族専用棟になります」
それぞれ使用できる条件が違うだけで、中は同じになっている。
「これは共通の決まり事ですが、食事フロアとは食事が提供されるという意味ではありません」
「ありがとうございます。確か、水以外は自分で確保しろ。でしたよね?」
「はい。例え貴族様であっても食事は調達から調理までご自身で行ってもらいます」
あくまで食事フロアとは調理場を貸してくれているだけである。
寝室もここには寝具が備えつけてあるそうだが、下の階層にある休憩エリアには寝具はないそうだ。
サラティスからすれば、魔獣が一切いないということが保証されている空間があるだけで十分嬉しいことである。
さらに言うと下の階層には騎士もいない。
貴族専用棟に無断で不届き者が入ってくる可能性もある。
何より油断しないこと、下の階層は一人でいかないことなどアドバイスを貰った。
「あ」
「如何されました?」
「質問なのですが。……ここで獲った魔獣を持って帰る時お金を払うんですよね?」
「はい、そのような規則となっておりますね」
「では、逆塔の中で獲ってご飯として食べた場合、お金はどうするんでしょうか?」
さすがに食べた物を吐き出すことなど不可能であろう。
「逆塔内にて捕まえて食べた分はお金はかかりませんよ。ただ、死骸の処理はしていただきたいですね。後は食べる分だけにしてください」
「あ、そうなんですね。ありがとうございます」
サラティスはこの休憩エリアを拠点に二階層から五階層までを詳しく探索するつもりだ。
休憩エリアまでの道も把握したので問題ない。
サラティスは二階層まで引き返した。




