第401話「偽造の疑い」
「は。こちらの少女の出した許可証なのですが……偽造の疑いがありまして」
「貸せ」
騎士が許可証を渡す。
このやり取りから察するに恐らく彼はレクラット家の人間なのだろう。
「……これは本物だ」
「っつ」
「貴様……配属されたばかかりか?」
「は、はい。こちらに配属され半年になります。も、申し訳ありません」
騎士は深々と頭を下げる。
「何故これを偽造だと判断した?」
「こ、子供が無制限の許可証を持ってるのはおかしいと判断しました。命の危険もある中、これが発行されることなどあるのかと」
「だがこれは紛れもない本物だ。……まず、俺に謝罪するのではないだろう?」
「っつ。お嬢さん、大変申し訳ありませんでした」
「分かってもらえたらよかったです」
余程怖いのだろう。
騎士も叱責が怖いのか、先程の気迫など欠片もない。
改めて騎士は頭を下げる。
「その態度は改めるように。相手は子供であり、今回許可証は本物だ。仮に子供の心に傷を負ったなどと親から抗議が来たらどうするつもりだ?」
騎士は何度も謝罪の言葉を口にする。
「偽造、偽証が判明したのなら問題はない。自身の行動の影響範囲を自覚しろ」
厳しいが言っていることに間違いはない。
「だが誰であろうと、丁寧に確認し、疑いを向けるということは立派だ。今後はこちらに落ち度を作らないように心がけ励むように」
「はい」
さすが貴族である。
これも人心掌握術である。
叱責するところは徹底に、冷静に。
だが褒める所は褒める。
叱責するだけであるのなら萎縮し、仕事を果たすことより叱責をされないようにと変わってしまうだろう。
叱責が適切でなければ、改善せず、いつかは意図せず大失態を招くであろう。
「はいはい。じゃ、一先ず入ろうね」
金髪の男性に押される形で門を潜り、地下へと続く階段を降りる。
階段の先にはまた騎士が。
そして大きな大きな鉄製の分厚い扉が。
騎士に開けて貰い、中に入る。
「うわー」
人、人、人の王都では見られない、自然溢れる平原が視界いっぱいに広がっていた。
部屋の端など見えないので、とてつもなく広い空間であることだけが理解できる。
地面から微かに上に向かい、サラティスの鼻で遊ぶ草、土の匂い。
先客達の姿だけでなく、魔獣の姿もちらほらと確認ができる。
「僕はフェナク。こっちがオドゥゴルグ」
「あ、私はサラティスです」
「所で、どうしてオドニイを不審者だと?」
笑うのを必死に堪えながらフェナクが聞く。
失礼ではあるので誤魔化すことを考えたが、さすがに迫る魔の手から母を守らねばならないと、問いただすことにした。
「私のお母様に片思いしてるんですよね?」
「?」
「へ?」




