第304話「魔術協会本部副部長」
「なるほど。お家が商家で、お父上がノウヴァ商会を経営されていらっしゃる。……承知しました。申請希望の人物に対して素性調査を行っています。なのでエステリアさんの素性も調査を行います。まぁ、学園が既に情報を持っているのでそちらで事足りますがね。一応形式の都合聞いただけなので、お気になさらずに」
そしてフィーナには質問しない。
「当然ですが、フィーナ王女様は素性がはっきりされていますので不要になってます。何より後ろの彼らが証拠ですしね」
王族専用の護衛騎士。
詐欺師が到底用意できるものではない。
「だ、大丈夫です。さすがに王女様と同じ扱いなんて思ってもないですから」
エステリアも当然理解している。
「次は技能となりますが……」
「そちらの書類にある通りです」
「うむ、学園祭の発表内容ですか。拝見します」
ウォールダは書類に目を通す。
「これはこれはまた、興味深い。魔術の併用による拡散魔術の発展ですか。元の声と異なるのが課題点……これであるのなら届く。魔術具による双方向の展望性も実に面白い。失礼ですがこれは本当に三人で?」
「はい。見ますか?」
「こういうことですかね?『魔術は自由であれ』」
ウォールダがつぶやくと雷球が出現した。
雷球は座っている四人の横、背後と一周してウォールダの元へ。
『魔術は自由であれ』
少し声が高くなっているが確かに声が聞えた。
「さすがですね」
内容を見ただけでその場で再現した。
「サラティス君。この人は副部長だ。つまり協会の中で上から数えて二番目の人物だ。副部長には年齢や所属年数でなれるものではない。魔術の知識、技術が卓越しているのだぞ?」
「あ、失礼しました」
「ははは。さすがに初級魔術の組み合わせですからね。後追の再現は造作もないですよ。大事なのはその最初を作り上げることですからね。試験を免除するには十分な功績ですね。これは試験とは何ら関係ないのですが、一ついいでしょうか?」
「……何でしょうか。彼女らは学生なのでそこは配慮を願います」
「なに、少しばかり魔術を見せて欲しいだけです。それこそ、試験と同じレベルで構いません」
「試験と関係ないと仰いましたが、減点されるなどは?」
「しません。あくまで個人的興味ですよ。無理と仰るのなら諦めますが」
「……二人とも申し訳ないが可能か?」
「大丈夫ですけど、一体何をすればいいかしら?」
「何でも大丈夫ですよ。得意な魔術であれば」
「私、回復魔術なのだけれども……」
「おお、ではこちらを」
机の引き出しから馴染み深い人形を取りだす。
「失礼」
次の瞬間人形に無数の傷が現れる。
傷ついた人形を机の上に置く。
「わ、私は得意という程のものがないですが……」
「エステリア君は水球でいいと思うぞ」
「もちろん、構いません」
「ではまず私からいいかしら」
フィーナは回復魔術を使った。
「ほう、無詠唱ですか」
二、三分程度で人形の傷が全て綺麗に治った。




