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宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


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304/441

第304話「魔術協会本部副部長」

「なるほど。お家が商家で、お父上がノウヴァ商会を経営されていらっしゃる。……承知しました。申請希望の人物に対して素性調査を行っています。なのでエステリアさんの素性も調査を行います。まぁ、学園が既に情報を持っているのでそちらで事足りますがね。一応形式の都合聞いただけなので、お気になさらずに」


 そしてフィーナには質問しない。


「当然ですが、フィーナ王女様は素性がはっきりされていますので不要になってます。何より後ろの彼らが証拠ですしね」


 王族専用の護衛騎士。

 詐欺師が到底用意できるものではない。


「だ、大丈夫です。さすがに王女様と同じ扱いなんて思ってもないですから」


 エステリアも当然理解している。


「次は技能となりますが……」

「そちらの書類にある通りです」

「うむ、学園祭の発表内容ですか。拝見します」


 ウォールダは書類に目を通す。


「これはこれはまた、興味深い。魔術の併用による拡散魔術の発展ですか。元の声と異なるのが課題点……これであるのなら届く。魔術具による双方向の展望性も実に面白い。失礼ですがこれは本当に三人で?」

「はい。見ますか?」

「こういうことですかね?『魔術は自由であれ』」


 ウォールダがつぶやくと雷球が出現した。

 雷球は座っている四人の横、背後と一周してウォールダの元へ。


『魔術は自由であれ』


 少し声が高くなっているが確かに声が聞えた。


「さすがですね」


 内容を見ただけでその場で再現した。


「サラティス君。この人は副部長だ。つまり協会の中で上から数えて二番目の人物だ。副部長には年齢や所属年数でなれるものではない。魔術の知識、技術が卓越しているのだぞ?」

「あ、失礼しました」

「ははは。さすがに初級魔術の組み合わせですからね。後追の再現は造作もないですよ。大事なのはその最初を作り上げることですからね。試験を免除するには十分な功績ですね。これは試験とは何ら関係ないのですが、一ついいでしょうか?」

「……何でしょうか。彼女らは学生なのでそこは配慮を願います」

「なに、少しばかり魔術を見せて欲しいだけです。それこそ、試験と同じレベルで構いません」

「試験と関係ないと仰いましたが、減点されるなどは?」

「しません。あくまで個人的興味ですよ。無理と仰るのなら諦めますが」

「……二人とも申し訳ないが可能か?」

「大丈夫ですけど、一体何をすればいいかしら?」

「何でも大丈夫ですよ。得意な魔術であれば」

「私、回復魔術なのだけれども……」

「おお、ではこちらを」


 机の引き出しから馴染み深い人形を取りだす。


「失礼」


 次の瞬間人形に無数の傷が現れる。

 傷ついた人形を机の上に置く。


「わ、私は得意という程のものがないですが……」

「エステリア君は水球でいいと思うぞ」

「もちろん、構いません」

「ではまず私からいいかしら」


 フィーナは回復魔術を使った。


「ほう、無詠唱ですか」


 二、三分程度で人形の傷が全て綺麗に治った。

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