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宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


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303/441

第303話「目が……」

 シェリーが言っていた通り、サラティスは驚いた。

 建物の広さも、人の多さもリステッドとは桁違いである。

 受付でチュースが用件を伝えると、職員やってきて、四階の一番奥の部屋に案内した。

 部屋の中は広く、言われたままに四人はソファーに腰を下ろす。

 扉の横にはフィーナの護衛が佇む。

 この部屋は見る限り、広さや家具、調度品の質からして、貴族相手のために用意されているのかもしれない。

 しばらくすると扉が開いた。


「これはこれは。お待たせしてしまい、申し訳ありません」

「!」

「!!」


 すらっとした中年男性が入ってきた。

 頭部には毛髪がなく、綺麗な素肌が光を反射する。

 フィーナとエステリアは驚愕を零す。

 それは彼の後ろ姿を目にしたからだ。


「おっと、これは失礼致しました」


 男性はすぐさま振り返る。


「め、目が……」


 エステリアが言葉を漏らす。

 そう、男性の後頭部には、眼球が二つ存在していた。

 子供の落書きなどではなく、見るからに本物の目である。


「私は魔人でして、慣れないお嬢様方を怖がらせてしまいましたか。因みに先に言っておきますと、後ろの目も普通に見えています」

「わざわざ、貴方が出て来る案件でしょうか?学生が申請しただけなのですが」

「チュース君がわざわざ来たのですから当然でしょう。お嬢様方、私は魔術協会本部副部長のウォールダと申します。生憎部長は仕事で国を出ていましてね。私が本日対応させていただきます」

「もしかして、王女である私が申請するから、かしら?」

「それもありますね。平の職員ですと権力や肩書で公正な目で見れない恐れもあるので」

「……一応説明させて頂くが、彼女達は学園の学生であり、フィーナ・ロスダル・ダルサグとエステリア・ノウヴァ。この二名が魔術協会への所属申請に参った」

「む、二名ですか。そちらのお嬢様はしなくていいのですかな?」

「彼女はサラティス・ルワーナ・リステッド。既に会員なので不要です」

「おや、一学年ですよね?」

「はい、そうです」

「失礼ですが、どちらで?」

「あ、うちの領……リステッドの支部で登録しました」

「なるほど。通常ということは審査を経て?」

「はい。回復魔術を見て貰いました」

「それで合格と。将来が楽しみですね」

「二人の素性に関してはこちらを」


 チュースは封筒を渡す。


「これは差別などではないと宣言します。エステリアさん、貴方はこの国の人間でしょうか?」

「はい。生まれも育ちもカネカノノノです」


 カネカノノノは国内の南西の領地である。

 位置でいうとザバラットの下で.ある。

 サグリナ王国の最南領は三つある。

 三つの領がほぼ横ならびになっている。

 西からカネカノノノ、ウーシュ、エンダルシアだ。


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