第299話「怪我だけはしないでください」
三人は校舎を出て校庭に足を運んだ。
広い校庭だが、それを十字の形に四分割にして、剣、弓、格闘、魔術のそれぞれの会場に割り当て、試合が同時に行われる。
最終日の上位戦は注目度も高く、数も少ないため、一つの試合ごとに行われるが、初めのうちは試合数も多いため同時に進行されるのだ。
サラティスはケイトを応援するために足を運んだ。
ジェリドに関しては決勝まで進むと思うので、その時応援すればいい。
ケイトには悪いが、上級生がいる中で勝ち進むのは至難であり、途中で敗退することが予想される。
なので、負ける前にとやってきた。
剣部門は一回戦が既に終わり、二回戦が行われている最中であった。
因みに四種目はトーナメント方式になっており、負けた時点で終了になる。
組み合わせは当然厳正なる抽選で行われ忖度は一切ない。
最後まで勝つには実力がなければなしえない。
数回勝つだけであれば、運でどうにかなる場合もある。
この抽選が意外にも盛り上がるそうだ。
校庭に臨時で立てられた掲示板には、紙が貼りだされており、そこにトーナメント表が書かれいている。
初めのうちは学年内同士の組わせになるため、一学年の中からケイトの名前を探す。
「あ、ケイったら一回戦無事勝ったみたいですね」
サラティスはケイトの名前を見つけた。ケイトの横に書かれている相手の名前に線が引かれていた。
「あらすごいじゃない。てことは、試合観戦間に間に合ったわね」
「あ、サラちゃん。見てください、ケイト様の次の対戦相手が……」
「あ」
「へー面白そうね」
暫くしてケイトの番がやってきた。
「ケイ!大怪我しないように気を付けて、頑張ってください」
会場の中央に立つケイトに向かって手を振る。
ケイトが木剣を構え対峙する相手、それはドグレダであった。
審判役の教員の合図により、試合が開始された。
それと同時に二人は動き、構える。
ケイトは剣を下段にて構え、 ドグレダの様子を窺う。
ドグレダはお互いの剣が当たらない距離にて、剣を構える。
一呼吸置き、果敢に距離を詰め、 ドグレダが剣を上から思いっきり振り下ろす。
それは読めていたのであろうケイトは、ドグレダの剣が振り下ろす途中で、剣を振り上げ、最大威力になる前に攻撃を受け止めた。
木と木とがぶつかりあい、乾いた音が響く。
一瞬の膠着。
だがドグレダの攻撃は止まなかった。
横から、上から、下から。
ケイトの剣の動きを見て、冷静に己を打ち込んでいく。
ケイトは辛抱強く、それを一つ一つ丁寧に受け、捌き、反撃の機会を狙う。
「ドグレダさん、意外とやるわね。日頃から訓練してるみたいね」
「そのようですね。でもケイもこれくらいじゃ、まだまだ平気ですよ」
「ドグレダさんはとてもお強いですよ。次男なので家を継がないので、将来的には騎士を目指しているそうです。過去には、ロボンド家から王宮騎士の隊長になった人もいるそうで、小さい頃からみっちり訓練を受けているそうです」
「エスちゃん、ずいぶんとお詳しいですね」
「あ、実は……例の一件からの縁で、朝私の自主練に付き合っていただいてます。元からドグレダさんも朝に剣を振ってたそうで、コツなど伝授してくれるんです」
サラティスは一瞬にんまりしたが、すぐさま真剣な顔でケイトを応援する。




